パッソのラックブーツ交換|車検の破れ指摘をプーラー無しで直す
パッソ M700A(平成29年9月登録)/使った工具はスパナ・カッター・ニッパーの3つだけ
※本記事は楽天市場・Yahoo!ショッピングのアフィリエイト広告(商品プロモーション)を含みます。
車検の点検で「ラックブーツが破れてますね」と言われて、この記事にたどり着いた方が多いと思います。
結論から言います。破れたラックブーツは車検に通りません。これは検査官の気分や裁量の話ではなく、条文にはっきり書かれています。この記事では、まずその根拠を示したうえで、実際にパッソ(M700A)の左右のラックブーツを交換した手順を解説します。
今回の作業で使った工具はスパナ・カッター・ニッパーの3つだけです。多くの解説記事では「タイロッドエンドをナックルから外す」と書かれていますが、今回はタイロッドエンドを付けたまま交換しています。プーラー(ボールジョイントを外す専用工具)は使っていません。
この記事でわかること
・破れたブーツが車検に通らない条文上の根拠(第169条)
・条文は「破れ」ではなく「損傷」と書かれている意味
・タイロッドエンドを外さずに交換する手順
・ネジ端からナットまでの距離を測る一手間で、トーを狂わせずに交換できる(テスター実測)
・パッソ M700A の純正品番と、同じ品番が使える5車種
・タイラップ巻き・分割式ブーツは通用するのか
ステアリングラックブーツが破れていると車検には通りません
ラックブーツ(ステアリングラックブーツ)は、ステアリングラック(ハンドルの動きを左右のタイヤに伝える装置)の左右にスライドする部分を覆っている、ジャバラ状のゴム部品です。中にはグリスが入っていて、ラックの摺動部を保護しています。
ここが破れると、走行中に水やホコリ、融雪剤が容赦なく入ります。中のグリスは流れ出し、ラック本体が錆びて摩耗していきます。そうなるとブーツ交換では済まず、ステアリングラック本体の交換になります。金額の桁が変わる修理です。
「たかがゴムのカバー」に見えますが、放置して得することは何ひとつありません。
根拠は「保安基準の細目を定める告示 第169条」
車検(継続検査)で使用過程車に適用されるのは、次の条文です。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第169条第1項第一号ト
かじ取り装置のダスト・ブーツに損傷があるもの
これは保安基準第11条(かじ取装置)から委任された告示で、第169条は使用過程車=継続検査(いわゆる車検)に適用される条です。つまり、今まさに車検を受けようとしている車に、そのまま適用される条文だということです。
条文は「破れ」ではなく「損傷」と書かれています
ここが一番お伝えしたいところです。
条文をよく読んでください。「損傷があるもの」です。「破れているもの」でも「穴が空いているもの」でもありません。
⚠️ つまり「まだ穴は空いていないから大丈夫」は通用しません。ジャバラの谷に深い亀裂が入っていれば、それは「損傷」です。ゴムは一度ひび割れが入ると、そこから一気に裂けます。指摘されたら素直に交換しましょう。
ネット上には「ひび割れならセーフ、破れたらアウト」という説明が散見されますが、条文にそんな線引きは書かれていません。書かれているのは「損傷」の2文字だけです。
検査は「目視」で行われます
実際の検査でどう見られるかは、自動車技術総合機構の審査事務規程 8-13「かじ取装置」に定められています。その 8-13-1 性能要件(視認等による審査)の①-キとして、「かじ取装置のダスト・ブーツに損傷があるもの」が挙げられています。
「視認等による審査」=検査官が下から覗いて目で見るということです。テスターの数値ではなく人の目で見るので、汚れを落として目立たなくする、といったごまかしは効きません。むしろ不自然に綺麗な部分があれば、そこを重点的に見られます。
車検で落ちる項目を他にも知っておきたい方は、車検で落ちる本当の理由 15選もあわせて読んでみてください。
今回の作業車両|パッソ M700A
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 車種 | トヨタ パッソ |
| 型式 | DBA-M700A |
| 初度登録 | 平成29年9月 |
| エンジン | 1KR-FE(1.0L) |
| 発見の経緯 | 車検の点検でブーツの破れを確認 |
| 交換箇所 | ステアリングラックブーツ 左右2本 |
下の写真が交換前の状態です。ステアリングラックの端から、タイロッドに向かってジャバラのブーツが伸びているのがわかります。車の下に潜って見上げた位置になります。


ちなみに同じM700Aパッソでは、オルタネーター交換の記事も書いています。この年式のパッソに乗っている方は、そちらもあわせてどうぞ。
用意するもの|部品と工具
部品|純正品番は 45535-B2010(左右共通)
パッソ M700A のステアリングラックブーツの純正品番は 45535-B2010 です。左右共通で、品番の分かれはありません。
ここで注意してほしいのが、純正はブーツ本体だけの品番だということです。ブーツを留めるクランプとクリップは、別部品として管理されています。
| 部品 | 純正品番 | 備考 |
|---|---|---|
| ラックブーツ本体 | 45535-B2010 | 左右共通 |
| クランプ(ブーツ固定用) | 45538-B2020 | ブーツとは別品番 |
| クリップ(ブーツ固定用) | 45537-97201 | ブーツとは別品番 |
今回使ったのは純正ではなく、大野ゴム工業の RP-2110(純正相当品)です。

箱を開けると入っているもの(実物で確認)
ブーツ本体・クリップ(小側)・バンド(大側)の3点です。
純正では3品番を別々に注文することになる組み合わせが、1箱で揃います。自分で交換する方にとっては、ここが地味に効きます。
⚠️ RP-2110は「1セット=片側1個分」です。左右とも交換するなら2セット必要になります。通販サイトの「1セット」表記を「左右セット」と勘違いして1つだけ注文してしまう方がいるので、注文時は個数に注意してください。今回も左右で2セット使っています。
今回使ったラックブーツ
大野ゴム RP-2110(純正品番 45535-B2010 相当)。
RP-2110そのものは1箱=片側分ですが、下の商品はそれを2個セットにして「パッソ M700A/M710A 左右セット」として売られているものです。これなら1点で両側そろうので、数え間違いがありません。
※大野ゴムは日本の純正部品メーカーです。ステアリングは重要保安部品なので、無名の激安品ではなく国産の信頼できる部品を選んでください。
※ご購入前に、必ずご自身の車の型式・年式で適合を確認してください。
パッソの兄弟車で同じ品番が使える車種
このブーツはトヨタ・ダイハツ・スバルの兄弟車で共通です。自分の車が該当するか確認してみてください。
| メーカー | 車種 | 型式 | 年式 |
|---|---|---|---|
| トヨタ | パッソ | M700A / M710A(4WD) | 16.4〜 |
| トヨタ | タンク/ルーミー | M900A / M910A(4WD) | 16.11〜 |
| ダイハツ | ブーン | M700S / M710S(4WD) | 16.4〜 |
| ダイハツ | トール | M900S / M910S(4WD) | 16.11〜 |
| スバル | ジャスティ | M900F / M910F(4WD) | 16.11〜 |
※適合はミヤコ自動車工業のステアリングブーツカタログ(2025年9月版)で確認しています。同社では R-805 が該当します。この5車種以外にも、他のダイハツ車に同じ品番の設定があります。取り付ける際は、必ずご自身の車の型式・年式で適合を確認してください。
⚠️ ネット上には「M700Aのラックブーツは 45535-B2050」と書かれた情報がありますが、45535-B2050 は別部品(BOOT, DUST COVER)で、ムーヴ系などダイハツの軽自動車に使われるものです。M700Aの部品図には出てきません。品番で注文するときは気をつけてください。
工具|スパナ・カッター・ニッパーの3つ
ブーツの脱着そのものに使った工具は、この3つだけです。
スパナ … ロックナットを緩める・締める
カッター … 古いブーツを切って取り外す
ニッパー … クランプ(バンド・クリップ)を切る
このほかに、寸法を控えるスケール(またはノギス)、組み付け時のトルクレンチ、そして車を上げて支えるためのジャッキ・リジッドラック・輪止めが必要です。
多くの解説ではタイロッドエンドプーラー(ボールジョイントを抜く専用工具)が必要と書かれています。しかし次に説明する手順なら、タイロッドエンドをナックルから外さないので、プーラーは要りません。ここが今回いちばんお伝えしたいポイントです。
⚠️ 車の下に潜る作業です。ジャッキだけで支えた車の下には絶対に入らないでください。必ずリジッドラック(ウマ)を掛け、輪止めをしてから作業します。整備工場ではリフトアップして行う作業です。この一点だけは、どんなに慣れていても省略してはいけません。
交換手順|タイロッドエンドを外さずに交換する
ラックブーツはジャバラの筒なので、タイロッドの先端から「抜く」しかありません。だから多くの解説記事では、タイロッドエンドをナックル(ハブ側)から外すところから始まります。ボールジョイントを抜くのでプーラーが要る、という流れです。
ですが、よく考えてみてください。タイロッドエンドを外さなくても、タイロッドの方を回せばエンドから分離できます。タイロッドの根元はラック側でボールジョイントになっていて、くるくる回せるからです。
タイロッドエンドはナックルに付けたまま。タイロッド側を回して、ネジをエンドから抜く。
これだけでブーツを抜く道ができます。プーラーもハンマーも要りません。
手順1|マーキングしてからロックナットを少し緩める
まず、タイロッドとロックナットの現在の位置にマーキングします。ペイントマーカーでも、細いマジックでも構いません。
ここでの位置が、そのままトー(タイヤの向き)になります。適当に緩めて適当に戻すと、まっすぐ走らない車になります。
マーキングができたら、スパナでロックナットを少しだけ緩めます。この時点では外しません。
手順2|タイロッドを回してタイロッドエンドから分離する
ロックナットが緩んだら、タイロッド(ラック側のネジ棒)を回して、タイロッドエンドのネジから抜いていきます。
タイロッドエンドはナックルに付いたままなので回りません。回るのはタイロッド側です。何回転かさせると、エンドからスポッと分離できます。
手順3|ネジの端からロックナットまでの距離を測る【重要】
この記事でいちばん大事な工程です。
分離できたら、タイロッドのネジの先端から、ロックナットまでの距離を測ります。スケールでもノギスでも構いません。この寸法をメモしておきます。
なぜマーキングだけでは足りないのか
このあとロックナットを外してしまうからです。ナットを抜いた瞬間、ナットに付けたマーキングは基準として使えなくなります。
ネジ端からの距離を数字で持っておけば、組み付け時にまったく同じ位置へ戻せます。トーのズレを最小限にできるので、あとの調整もごくわずかで済みます。
ひと手間ですが、ここを省くと組み付け後にハンドルセンターが狂い、調整に余計な時間がかかります。10秒の作業で後が全然違います。
手順4|ロックナットを外して、古いブーツを取り外す
寸法を控えたら、ロックナットを完全に外します。これでタイロッドの先端が自由になり、ブーツを抜けるようになります。
ブーツを留めているクランプ(大側のバンドと小側のクリップ)をニッパーで切断します。再使用はしません。新品に交換します。
古いブーツはカッターで切って取り外すのが早いです。どうせ捨てるものなので、無理に抜こうとして周辺を傷つけるより、切ってしまった方が確実です。
⚠️ ブーツを外したら、中のラック部分の状態を必ず確認してください。グリスが残っているか、ラックのネジ部や摺動面に錆・傷が出ていないか。破れてから時間が経っている場合、すでにラック本体にダメージが及んでいることがあります。錆が出ていたら、ブーツ交換だけでは根本解決になりません。
手順5|新しいブーツを組み付ける(逆の手順)
取り付けは、外した手順を逆にたどります。ただしクランプを締める順番だけは注意してください。
1. ラック内のグリスの状態を確認し、不足していれば補充する
2. 新しいブーツをタイロッドに通し、ラック側とタイロッド側の溝に正しく収める
3. ラック側(大きい方)のクランプだけを先に固定する
4. ロックナットをタイロッドに入れ、手順3で測った寸法の位置に合わせる
5. タイロッドを回してタイロッドエンドにねじ込む
6. ロックナットを規定トルクで締め付ける
7. 最後にタイロッド側(小さい方)のクリップを固定する
8. サイドスリップ(トー)を測定・調整する
⚠️ なぜ小さい方のクリップを最後に締めるのか。
手順5でタイロッドを何回転も回すからです。両端を固定した状態で回すと、ラック側は固定されたままタイロッド側だけが回るので、新品のブーツが回転数のぶんだけ丸ごとねじれてしまいます。ねじれたまま固定すると、ハンドルを切るたびにブーツが無理な伸び方をして、せっかくの新品が早期に破れます。
ねじ込みが終わってから最後にクリップを留めれば、ブーツはまっすぐな状態で固定できます。組み終えたら、ジャバラがねじれていないか、めくれたまま挟み込まれていないかを目で見て確認してください。
ロックナットの締付トルク
最後に締めるロックナットには、きちんと規定値があります。
| 箇所 | 締付トルク |
|---|---|
| タイロッドエンド ロックナット | 47.1 N·m(480 kgf·cm) |
※パッソ M700A の整備書(構成図)で確認した値です。他の車種・型式では異なりますので、必ずご自身の車の整備書で確認してください。
ここが緩めば、走行中にトーが変化します。操舵に直結する部分なので、感覚で締めずにトルクレンチを使ってください。上位に出てくるラックブーツの解説記事で、この数値を書いているものは見当たりません。しかし本来、ここは数字で管理すべき箇所です。

トー調整(サイドスリップ)は必ず必要です
タイロッドを回した以上、トーは変わっている可能性があります。手順3の寸法どおりに戻していても、それはあくまで「ほぼ元どおり」であって「完全に同じ」の保証ではありません。最後は必ずテスターで確認してください。
今回の結果:サイドスリップはずれていませんでした
作業後にサイドスリップテスターで実測したところ、交換前から値が変わっていませんでした。
つまり手順3で「ネジの端からロックナットまでの距離」を測って、その寸法どおりに組み戻せば、トーは狂わせずに交換できるということです。あの10秒の一手間には、きちんと意味があります。
ただし、これは「測定しなくてよい」という意味ではありません。ずれていないことを確認できたのは、テスターに乗せたからです。寸法どおりに戻したつもりでも、ネジ山1山分の違いで数値は動きます。作業したら必ず測ってください。
サイドスリップにも車検の基準があります
実はサイドスリップも、ブーツの破れと同じ告示の同じ条文に規定されています。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第169条第1項第一号ル
四輪以上の自動車のかじ取車輪をサイドスリップ・テスタを用いて計測した場合の横滑り量が、走行1mについて5mmを超えるもの
※ただし、自動車製作者等が指定する範囲内にある場合を除く旨のただし書きがあります
つまり±5mm/mが合否ラインです。ブーツを直したのに、戻し方を誤ってこの数値で落ちる——というのは、いちばんもったいないパターンです。
ハンドルを取られる、片減りする、といった実害も出ます。「ブーツを替えたらまっすぐ走らなくなった」という失敗は、ほぼここが原因です。
車検と同時なら、調整の費用は抑えられます
今回の作業は車検の点検で破れが見つかったケースでした。この場合、車検でどのみちサイドスリップテスターに乗せます。
つまり測定の工程がもともと車検の中に含まれているので、別途アライメント測定を依頼するより費用を抑えられます。車検の見積もりでブーツの破れを指摘されたら、その場でまとめて直してしまうのが結果的にいちばん安いという判断になります。
「今回は見送って、次の機会に」と持ち帰ると、テスター代を別に払うことになりがちです。ユーザー車検で費用を抑えたい方も、この部分は覚えておいて損はありません。
タイラップを巻けば車検に通る?
「破れたところにタイラップを巻いて誤魔化す」「補修剤で埋める」という話を見かけます。整備士としての答えはノーです。
理由は単純で、条文が「損傷があるもの」だからです。巻いても貼っても、ブーツの損傷そのものは残っています。そして検査は目視です。下から覗けば、不自然に巻かれたタイラップは逆に目立ちます。
それに、仮に通ったとしても中身は守れていません。水とホコリは入り続け、その先に待っているのはラック本体の交換です。ブーツ1本の費用を惜しんだ結果、桁の違う修理になる——現場ではよく見る流れです。
分割式のラックブーツはあるのか
ドライブシャフトブーツには、切れ目が入っていて分解せずに巻き付けられる「分割式」があります。実際に私もハイエースのドライブシャフトブーツを分割式で交換したことがあります。
では、ラックブーツにも分割式があるのか。メーカーの公式カタログを確認した限り、ステアリングラックブーツ用の分割式は存在しません。
分割式ブーツの代表であるミヤコ自動車工業の「Mタッチ」は、カタログの冒頭にドライブシャフト用である旨が明記されており、適合表にステアリング系の設定はありません。同社のステアリングブーツは完全に別カタログで、こちらはすべて一体成形品です。
「分解しないで交換したい」というニーズに対しては、JTCなどから伸縮式の汎用ブーツ(専用の挿入工具でタイロッドエンドを分解せずに装着するタイプ)が出ています。ただし汎用形状なので、M700Aに適合するかは別途確認が必要です。
今回のようにプーラーを使わずタイロッドを回すだけで分離できるなら、素直に純正形状のブーツを入れた方が確実だと思います。
交換費用の目安
依頼先による工賃の目安です。地域や工場によって幅があるので、あくまで参考にしてください。
| 依頼先 | 工賃の目安(片側) | 備考 |
|---|---|---|
| ディーラー | 高め | 純正部品での対応が基本 |
| 整備工場 | 6,000〜8,000円 | 社外の優良部品を選べることが多い |
| カー用品店 | 6,000〜8,000円 | 店舗により受付可否が分かれる |
| 自分で交換 | 工賃はかからない | 別途サイドスリップ調整が必要 |
ここにサイドスリップ(トー)調整の費用が加わります。前述のとおり、車検と同時にやってしまうのがいちばん効率的です。
自分で交換する前に知っておくこと
工具3つでできる作業ですが、法令上の位置づけは正しく理解しておいてください。
国自整第275号(令和2年2月6日 自動車局整備課長通達)別紙 1(4) かじ取り装置
リンク機構関係としてタイロッド、タイロッドエンド等を取り外して行う整備は、特定整備(分解整備)に該当する
今回の作業はタイロッドをタイロッドエンドから分離しているので、これに該当します。ここで線引きをはっきりさせておきます。
自分の車を、自分で整備する → 認証は不要です
他人の車を、業として整備する → 認証工場でなければできません
つまり「自分の車だから自分でやる」のは問題ありません。ただし友人の車を頼まれて有償で、というのはアウトです。ここは間違えないでください。
なお、部品メーカーである大野ゴム自身も、製品の注意書きで「重要保安部品になりますので交換作業は必ず認証を受けた整備業者に委託して行って下さい」と案内しています。ステアリングは、壊れれば操舵不能に直結する部品です。少しでも不安があるなら、迷わずプロに任せてください。
作業が終わったら、必ず試運転を
組み付けとサイドスリップ調整が済んだら、そこで終わりにしないでください。
・直進状態でハンドルのセンターが出ているか
・手を軽く添えた状態で車がまっすぐ走るか
・ハンドルを左右いっぱいまで切って、異音や引っかかりがないか
・走行後にもう一度下に潜り、ロックナットの緩み・ブーツのねじれがないか
特にハンドルをフルロックまで切る確認は必ずやってください。ブーツがいちばん伸びる状態で、めくれや突っ張りがないかを見るためです。据え切りで問題がなくても、実際に走ってみると違和感が出ることがあります。
まとめ
・ラックブーツの破れは車検に通りません(告示第169条第1項第一号ト)
・条文は「損傷」。穴が空いていなくても、亀裂があれば対象
・検査は目視。タイラップ巻きや補修剤は通用しない
・パッソ M700A の純正品番は 45535-B2010(左右共通)
・大野ゴム RP-2110 はブーツ・クリップ・バンドの3点入り。1セット=片側分
・タイロッドエンドは外さずに、タイロッドを回して分離すればプーラー不要
・ネジ端からロックナットまでの距離を測っておくことが成否を分ける
・実際、寸法どおりに戻したらサイドスリップはずれていなかった(テスター実測)
・小さい方のクリップはねじ込みが終わってから最後に留める(ブーツのねじれ防止)
・ロックナットの締付トルクは 47.1 N·m(480 kgf·cm)
・作業後はサイドスリップ ±5mm/m 以内に調整し、試運転で確認する
ブーツ1本は、車のパーツの中では小さく地味な部品です。しかし、ここを守れなければステアリングラック本体という大物に波及します。車検で指摘されたら、それは大きな出費になる前に気づけたサインだと思ってください。
足回りの点検では、他のブーツ類もあわせて確認しておきたいところです。ロアボールジョイントやタイロッドエンドのブーツも、同じように「損傷があるもの」で車検に落ちる部品です。潜ったついでに、まとめて見ておきましょう。
整備士 nao(ナオ)
元自動車検査員
整備歴15年
本記事の内容は整備マニュアル・メーカーサービス情報・現場経験に基づき執筆。プロメンテ(sps-nk.com)では実車写真と動画を交えた一次情報を発信しています。



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