フィットGE6 ファンベルト交換|GK3とは品番が違う

エンジン
📅公開日 2026年9月9日(2日前)

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2代目フィット(GE6)のファンベルトを交換しました。作業自体はDIYでも十分できる部類なのですが、同じフィットでも3代目(GK3)とは部品もやり方も違います。ここを知らないまま部品を買うと、そもそも取り付けられません。

実際にGE6とGK3を続けて作業して、決定的な違いが2つありました。この記事では、GE6の交換手順と、GK3との違いをまとめます。

GE6とGK3の決定的な違い

① ベルトのリブの本数が違う(GE6は5本/GK3は6本)ので部品に互換性がない
② GE6のオートテンショナーにはロック穴が無い。GK3のように六角レンチで固定できないので、押さえたまま作業する必要がある

GE6のファンベルトは5PK1140|GK3とは別物

まず部品から。GE6のファンベルトはこれ1本です。

項目 内容
ベルト規格 5PK1140
ホンダ純正品番 38920-RB0-004(H3892-RB0-003 の表記も同一仕様)
対象 GE6・GE7・GE8・GE9(H19.10〜H25.09)
他車流用 フリード GB3/GB4、モビリオ GB1/GB2、フィットシャトル GG7/GG8、初代フィット GD1/GD2 にも同じ規格

問題はここからです。3代目フィット(GK3)のベルトと並べると、こうなります。

  GE6(2代目) GK3(3代目)
エンジン L13A L13B
ベルト規格 5PK1140 6PK1100
リブ(山)の本数 5本 6本
長さ 1140mm 1100mm
純正品番 38920-RB0-004 31110-5R0-003
テンショナーのロック穴 無し 有り
使う工具 19mmメガネ 17mmメガネ+六角レンチ

⚠️ 「フィット用」という表記だけで買わないでください。リブの本数が5本と6本で違うので、世代を間違えるとプーリーに乗りません。通販で買うときは、必ず型式(GE6/GK3)と規格(5PK1140/6PK1100)の両方で確認してください。

フィットGE6の交換前のファンベルト。1本のベルトが複数のプーリーを回している
交換前のGE6。左がクランクプーリー、右がエアコンコンプレッサー。1本のベルトで全部回しています

GE6も1本掛け|切れると補機が全部止まる

GE6のベルトも1本掛けのサーペンタイン方式です。1本のベルトがすべての補機を回しているので、切れたら全部同時に止まります

GE6でこのベルトが回しているのは、エアコンのコンプレッサー・オルタネーター(発電機)・ウォーターポンプの3つです。世代が違ってもGK3と同じ構成で、ベルト1本にエンジンの冷却と発電がぶら下がっています

止まるもの 切れた直後に起きること
ウォーターポンプ 冷却水が回らなくなる。走り続ければオーバーヒートでエンジンが壊れます
オルタネーター 発電が止まる。充電警告灯が点灯し、バッテリーの残量だけで走ることになります
エアコンコンプレッサー 冷房が効かなくなる

⚠️ 走行中に切れたら、すぐ安全な場所に停めてエンジンを切ってください。「充電警告灯の点灯」と「水温計の急上昇」が同時に出たら、まずベルトを疑います。冷却が止まっているので、あと少しだからと走ると、ベルト代とは桁の違う修理になります。

ベルトを外すと、プーリーが裸になります。この状態は各プーリーを手で回して確認できる貴重なタイミングなので、必ず1つずつ回してみてください。ゴロつきや引っ掛かりがあれば、そのベアリングは寿命が近いサインです。

フィットGE6のベルトを外し、各プーリーが露出した状態
ベルトを外した状態。プーリーの溝の状態も、この時に一緒に確認しておきます

必要な工具|GE6は19mmが要る

工具 用途
19mmメガネレンチ テンショナーのプーリボルトに掛けて反時計回りに回し、テンションを抜く。できるだけ長いものを用意してください
ジャッキ+リジッドラック 車体を上げて確実に支える
十字レンチ/トルクレンチ 右前ホイールの脱着
クリップ外し・10mmソケット タイヤハウス内インナーカバーの脱着

GK3では17mmのメガネで足りましたが、GE6は19mmです。ここを間違えると現場で手が止まります。事前に用意しておいてください。

フィットGE6 ファンベルトの交換手順

⚠️ 必ずエンジンを止め、冷えてから作業してください。ジャッキだけで車体の下に潜るのは絶対にやめてください。リジッドラック(ウマ)で確実に支えます。オートテンショナーの力はかなり強く、手が滑ると指を挟みます。

1. 右前を上げてタイヤを外す
ジャッキアップしてリジッドラックで支え、右前輪を外します。ベルトはエンジンの右側にあります。

2. R.側のスプラッシュシールドを外す
右フロントのタイヤハウス内側にあるカバー(整備書では「R.側スプラッシュシールド」と呼びます)を外すと、クランクプーリーとベルトにアクセスできます。

3. ベルトの通り道を写真に撮る
外す前に必ず1枚。プーリーが複数あるので、記憶だけで戻そうとすると迷います。

4. プーリボルトに19mmを掛けて、反時計回りに動かす
テンショナーのプーリボルトに19mmのメガネレンチを取り付け、反時計回りに動かすとテンションが緩んで、ベルトが外せる状態になります。ここは結構な力が要ります。長いメガネを使うと、少ない力で確実に動かせます。

整備書の記載は、たったの3行

メーカーの整備書でこの作業を引くと、書かれているのは「R.側のスプラッシュシールドを取外す」「プーリボルトにレンチを取付け、レンチを動かして、ドライブベルトを取外す」「取付けは、取外しの逆の手順で行う」——これだけです。
レンチを掛ける場所は分かりますが、そのレンチをどうやって押さえ続けるのかは書かれていません。整備書は「プロが読む前提」なので、現場で本当に困るところほど省略されています。次の項目が、その省略された部分です。

⚠️ GE6のテンショナーにはロック穴がありません。3代目のGK3には、緩めた位置で六角レンチを差し込んで固定できる穴があるのですが、GE6には無いのでレンチで押さえ続けたまま、もう片方の手でベルトを扱うことになります。ここがGE6でいちばん神経を使うところです。

5. 押さえたままベルトを外す
テンションが抜けている状態で、空いている手でベルトを抜きます。手が滑ってレンチが戻ると、指を挟みます。体勢を安定させ、無理な姿勢で力を掛けないこと。可能なら、もう1人にレンチを押さえてもらうと格段に安全で早く終わります。

6. 新しいベルトを掛ける
掛けやすいプーリーから順に通し、最後の1か所を残しておいて、そこに滑り込ませるのがコツです。全部同時に合わせようとすると入りません。

⚠️ プーリーには2種類あります
クランク・エアコンコンプレッサー・オルタネーターのプーリーには溝(リブ)が切ってあり、ベルトの山が噛みます
これに対してエアコンとオルタネーターの間にあるウォーターポンプのプーリーには溝がなく、ベルトの背面(平らな面)が当たります
「全部の山を溝に入れる」と思い込んでいると、掛け方を間違えます。外す前に撮った写真で、どこに背面が当たっていたかを見ながら組んでください。

7. テンショナーを戻す
すべてのプーリーに掛かったのを確認してから、レンチをゆっくり戻します。勢いよく離さないこと。オートテンショナーなので、張りの調整は不要です。

8. 溝ズレの確認(最重要)
すべてのプーリーで、ベルトの山とプーリーの溝が合っているかを目視で確認します。1山ずれたまま回すと、ベルトの縁が数分で削れます。指でベルトの端をなぞって、はみ出していないか確かめてください。

9. エンジンを掛ける前に、クランクを手で回す
これが最後の安全策です。クランクプーリーのボルトにソケットを掛け、エンジンの回転方向に2回転ほど手で回してください。溝が1山ずれていれば、回した時点でベルトが片寄る・乗り上がるので、その場で気づけます。
いきなりエンジンを掛けると、ズレていた場合に一瞬で新品ベルトを痛めます。手回しで異常がないことを確かめ、もう一度すべてのプーリーの掛かりを見てから始動してください。

10. エンジンを掛けて確認
異音がないか、ベルトが蛇行していないかを確認します。問題なければカバーとタイヤを戻し、ホイールナットをトルクレンチで規定トルクまで締めて完了です。

フィットGE6に新品のファンベルトを装着した状態
新品を組んだ状態。すべてのプーリーで山と溝が合っているかを確認してからエンジンを掛けます

ロック穴が無い車で安全に作業するコツ

GE6のように固定できないタイプは、力任せにやると危険です。現場では次のように進めています。

  • 長いメガネレンチを使う|テコの原理で、押さえ続ける力そのものが減ります。短い工具で耐えようとするのが一番危ない
  • レンチの当たりを確認してから力を掛ける|六角部に浅く掛かっていると、力を入れた瞬間に外れます
  • 2人でやる|1人がレンチ、1人がベルト。安全性も作業速度も段違いです
  • 戻すときはゆっくり|勢いよく戻すと、ベルトが溝から飛び出したまま張られることがあります

交換のタイミングをどう判断するか

ファンベルトの交換時期は、じつはホンダが走行距離の基準を公表していません。公式には「使用年数によって劣化の状態が異なるので、交換時期はHondaのお店に相談してほしい」という案内になっています。

つまり距離ではなく現物で判断する部品です。判断の具体的な基準(どこまでのひび割れなら様子見でよいか)は、GK3の記事で詳しく解説しています。ベルトの見方はどの車種でも共通なので、あわせて読んでみてください。

整備書の判定基準は「テンショナーのインジケータ」

じつはGE6には、ひび割れの目視以外にもう一つの明確な交換基準があります。メーカーの整備書に載っている、ドライブベルトの点検項目です。

整備書のドライブベルト点検

  1. ベルトの損傷を点検し、損傷のあるものは交換する
  2. オートテンショナのインジケータが基準内にあることを確認する。基準を外れている場合は、ベルトを交換する
  3. ベルトを交換する際は、各プーリの損傷および異物のかみ込みなどを点検する

ポイントは2番目です。オートテンショナーには、現在の張り具合を示すインジケータ(指標)が付いています。

インジケータの見方

テンショナー本体に三角形のマーク(▽)があり、その周りに2本のラインで基準の範囲が示されています。
この三角マークが2本のラインの内側に収まっていればOK。範囲から外れていたら、ベルト交換です。

ベルトは使っているうちに少しずつ伸びます。伸びるとテンショナーはその分だけ余計に張り出して、たるみを吸収します。つまりインジケータの位置は「ベルトがどれだけ伸びたか」を表しているわけです。指標が基準の範囲から外れていたら、そのベルトは寿命——ひび割れが目立っていなくても、です。

💡 ひび割れが軽くても交換になるケース
「見た目はまだいけそうなのに交換をすすめられた」というとき、整備士はこのインジケータを見ていることがあります。ベルトの伸びは見た目では分かりませんが、インジケータには正直に出ます。指摘されたら「インジケータはどうでしたか」と聞いてみてください。きちんと点検している工場なら即答できます。

テンショナー自体の良否を数値で見る方法

ここからは整備士向けの内容です。ベルトを新品にしたのに鳴きが止まらない、異音が残る——そんなときは、テンショナーのスプリングそのものがヘタっている可能性があります。整備書には、その張力を数値で測る手順が載っています。

  1. ドライブベルトオートテンショナを車両から取り外す
  2. テンショナの取付け穴に8mmボルト2本を差し込み、そのボルトをバイスで挟んで固定する
  3. トルクレンチをプーリボルトに取り付ける
  4. トルクレンチを反時計方向に動かし、インジケータと中央ラインが合ったところでトルクを読む

テンショナースプリング張力の基準値

20.6 〜 25.2 N·m(2.10 〜 2.57 kgf·m)

この範囲を外れていたら、オートテンショナを交換します。インジケータが中央ラインを過ぎてしまった場合は、一度戻して測定し直してください。

見てのとおり、この測定はテンショナーを車から降ろしてバイスに固定しないとできません。DIYで気軽にできる作業ではないので、「ベルトを替えても異音が消えないときは、テンショナーの寿命という可能性がある」ということだけ覚えておいて、あとは整備工場に相談するのが現実的です。

▶ ファンベルトのひび割れは交換すべきか|フィットGK3実車
ひび割れの深さによる判断基準、法定12ヶ月点検での扱い、GK3のロック穴を使った交換手順はこちら

まとめ

  • GE6のファンベルトは5PK1140(純正 38920-RB0-004)。1本掛けのオートテンショナー式
  • GK3(6PK1100)とはリブの本数が違うので互換性なし。「フィット用」だけで買わない
  • 工具は19mmメガネ。GK3の17mmとは違うので事前に用意する
  • GE6のテンショナーにはロック穴が無い。押さえたままの作業になるので、長いレンチか2人作業で安全を確保する
  • 回しているのはエアコン・オルタネーター・ウォーターポンプの3点。切れたらオーバーヒートするので走り続けないこと
  • ウォーターポンプのプーリーだけは溝がなく、ベルトの背面が当たる。掛け違いに注意
  • 組んだら溝ズレを目視確認し、クランクを手で2回転させてからエンジンを掛ける
  • 交換時期は距離ではなく年数とひび割れの現物判断。整備書はオートテンショナのインジケータが基準内かで判定している
  • ベルトを替えても異音が残るなら、テンショナーのスプリング張力(基準値20.6〜25.2N·m)を疑う

同じ車種名でも、世代が変わればここまで違います。整備情報を調べるときは「フィット」ではなく「GE6」「GK3」と型式で調べる。これが遠回りに見えて、いちばん確実です。

あわせて読みたい

GE6の交換用ベルト

今回使ったのと同じ規格の5PK1140です。商品名にGE6を含む適合型式が並んでいるので、自分の型式で確認しやすい出品を選びました。
3代目フィット(GK3)には使えません。GK3は6PK1100です。

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この記事を書いた人

整備士 nao(ナオ)

1級自動車整備士・元自動車検査員|整備歴15年。ディーラーで整備士から自動車検査員までを経験し、現在は民間整備工場で日々現場作業を続けています。「家族にすすめられる整備情報だけを発信する」がモットー。
国家1級整備士
元自動車検査員
整備歴15年

本記事の内容は整備マニュアル・メーカーサービス情報・現場経験に基づき執筆。プロメンテ(sps-nk.com)では実車写真と動画を交えた一次情報を発信しています。

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