ステップワゴン ブロアモーター交換|風が出ない原因はレジスター
RK1で「エアコンの風が全く出ない」。テスター1本で、モーターではなくレジスターの断線と突き止めた実例です
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こんにちは、整備士naoです。エアコンのダイヤルを回しても、吹き出し口から風がまったく出ない。ステップワゴン(RK系)で、この相談を受けることがあります。
原因として多いのは、送風ファンを回すブロアモーターか、その回転を制御するレジスターのどちらかです。今回の入庫車は、テスターで測ってレジスターの断線と判断し、レジスターとブロアモーターを交換しました。どこを測れば「どちらが悪いか」を見分けられるのか、実際の数値と写真で解説します。
この記事で分かること
・ステップワゴンで風が出ないときに疑う部品と、その場所
・ブロアモーターのコネクターで電圧を測り、モーターとレジスターのどちらが悪いかを見分ける方法
・レジスターだけでなくモーターも一緒に替えた理由
今回の車両と症状
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 車種・型式 | ホンダ ステップワゴン DBA-RK1(エンジン R20A) |
| 初度登録 | 平成24年3月 |
| 走行距離 | 151,478km |
| 症状 | 風量ダイヤルをどこにしても風が出ない(全速で回らない) |
| 原因 | レジスター(ホンダの部品名はパワートランジスター)の断線 |
| 交換した部品 | レジスター(社外品)/ブロアモーター(予防交換・社外品) |

まず知っておきたい、送風の仕組み
エアコンの風は、助手席の足元にあるブロアモーター(送風ファンを回すモーター)が作っています。風の強さを変えているのがレジスターです。RK系ステップワゴンでは、ホンダの部品名でパワートランジスターと呼ばれる電子部品がこの役目をしています。
電気の流れを順に並べると、次のようになります。
バッテリー → ヒューズ → リレー → ブロアモーター → レジスター → アース(車体)
ポイントは、レジスターがモーターの「アース側(出口側)」にあることです。ファンのスイッチが入っていれば、モーターのプラス側には電気が来ていて、レジスターが出口の流れ具合を変えることで、風量を調整しています。つまり、レジスターが断線すると出口がふさがれ、電気が流れないのでモーターは1ミリも回りません。モーター本体が元気でも「全速で風が出ない」症状になるわけです。
整備書の配線図で、パワートランジスターの4本の端子を確認しました。中身はMOSFET(モスフェット)という電子スイッチで、エアコンの制御ユニットからの信号で「どれだけ電気を通すか」を変えています。
| 端子 | 線の色 | つながる先・役目 |
|---|---|---|
| No.1 | 白 | ブロアモーターの2番端子(アース側)。今回テスターを当てた線。モーターから見れば下流(出口)、パワートランジスターから見れば上流(入口)にあたる |
| No.2 | 赤 | エアコンの制御ユニットへ。内部の抵抗を通して、制御ユニットがモーター側の電圧を見張るための線 |
| No.3 | 黒 | アース(車体) |
| No.4 | 空色 | エアコンの制御ユニットから来る制御信号(風量の指令) |
テスターで切り分ける:モーターか、レジスターか
どちらが悪いかは、ブロアモーターのコネクター(2本の線)で電圧を測ると見分けられます。コネクターは差したまま、裏側から測定棒を当てて測ります。ファンのスイッチは入れた状態です。

テスターのマイナス側を車体(ボディアース)に当て、プラス側でコネクターの2本を1本ずつ測りました。結果はこうです。
| 測った場所 | 今回の値 | 意味 |
|---|---|---|
| モーターのプラス側 | 13.9V台 | ヒューズ・リレーまでは正常。電気はモーターまで来ている |
| モーターのアース側(レジスターへ行く白い線) | 13.9V台 | モーターの巻線越しに、レジスターの手前まで電圧が出ているのに、そこから先へ電流が流れていない |
正常なら、モーターの中を電気が流れるぶん、アース側の電圧はプラス側より下がります。ところが今回は、アース側もプラス側と同じ13.9V台でした。モーターの巻線はつながっているので、電流が流れていなくても、電圧だけがアース側まで出てきます。つまり「モーターは生きているが、その先(レジスター側)で道が切れている」状態です。プラス側・マイナス側ともに13.9Vなら、原因はブロアモーターより下流(アース側)と絞り込めます。ここからレジスターの断線と判断しました。
| プラス側 | アース側 | 疑う場所 |
|---|---|---|
| 0V | 0V | モーターより手前(ヒューズ・リレー・配線) |
| バッテリー電圧 | 0V | モーター本体(中で電気が途切れている) |
| バッテリー電圧 | バッテリー電圧と同じ | レジスター側(今回はこれ) |
⚠️ この見分け方は「全速で風が出ない」ときの考え方です。パワートランジスターのNo.4端子には、エアコンの制御ユニットからの制御信号が来ています。この信号が来ていない場合もパワートランジスターは電気を通さないので、新品に替えても直らないときは、制御側(エアコンの制御ユニット・配線・アース)の点検が必要です。
今回使ったテスター
電圧測定に使ったのは、カイセのデジタルテスター KU-2600 です。自動車用として売られているモデルで、今回の13.9V・1.664Vもこれで測りました。
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ブロアモーターとレジスターの場所
どちらも助手席の足元、グローブボックスの下にあります。今回の車両では、助手席側のフロアに寝そべるようにして下からのぞくと、ブロアモーターが見えました(下の写真)。

レジスター(パワートランジスター)は、放熱用のフィン(ギザギザの金属部分)が付いた小さな部品で、4本の端子のコネクター(4Pカプラー)がつながっています。整備書では、グローブボックスを外し、その奥のアシスタントヒーターダクト(タッピングスクリュー留め)を外してからカプラーを抜く手順になっています。

外したレジスターの点検(整備書の方法)
車両側での電圧測定に加えて、整備書には外したレジスター単体の点検方法も載っています。交換前の確認や、社外品に替える前の比較に使えます。
| 点検 | やり方 | 基準 |
|---|---|---|
| 抵抗値 | パワートランジスターのNo.1端子とNo.2端子の間の抵抗をテスターで測る(制御ユニットが電圧を見張る線の内部抵抗) | 約1.5kΩ |
| 作動 | 制御信号の線(No.4・空色)をカプラーから抜いてカプラーをつなぎ直し、No.4にバッテリーのプラス、No.3にマイナスをつないで、イグニッションONでブロアモーターが回るかを見る(制御ユニットの代わりに直接「全開」の信号を入れる点検) | モーターが回ること |
⚠️ 作動点検は、カプラーから端子を1本抜いてバッテリー電源をかける方法です。端子の爪を壊したり、抜いた端子が周りの金属に触れてショートしたりするおそれがあるので、DIYでは抵抗値の確認までにとどめ、作動点検は整備工場に任せるのが安全です。
交換作業
作業はどちらも「コネクターを外す → 固定ネジを外す → 部品を取り外す」の順です。取り付けは逆の手順で行います。
作業の流れ
① エンジンを止め、キーを抜く(コネクターの抜き差しは電源オフで)
② グローブボックスを外し、タッピングスクリューを外してアシスタントヒーターダクトを取り外す
③ レジスターの4Pカプラーを外し、固定ネジを外して取り出す
④ ブロアモーターのコネクター(茶色)を外し、配線が引っかかる場合は留め具から外して逃がす
⑤ ブロアモーターの固定ネジを外し、取り外す
⑥ 新品を逆の手順で取り付け、コネクターを確実に差し込む
⑦ エンジンをかけ、風量ダイヤルを全段切り替えて風が出るか確認する
今回のブロアモーターは、純正品番79310-SLJ-941に対応する社外品を使いました。レジスターも社外品です。
ステップワゴン RK1 の交換部品を探す
今回交換したのは、ブロアモーター(純正品番 79310-SLJ-941 対応)とパワートランジスター(レジスター)の2点です。どちらも社外品です。
⚠️ 購入前に、商品ページの適合表に「RK1」が入っているかを必ず確認してください。心配なときは車検証を持ってホンダの部品窓口で純正品番を確認するのが確実です。
① ブロアモーター(79310-SLJ-941 対応)
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② パワートランジスター(レジスター)
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⚠️ 社外品を選ぶときは、適合表に「RK1」が入っているかを必ず確認してください。レジスターは年式や仕様によって品番が分かれている情報もあり、ネット上の品番だけで決めるのはおすすめしません。迷ったら、車検証を持ってホンダの部品窓口で純正品番を確認するのが確実です。
交換後の確認:アース側の電圧が下がった
交換後、故障診断のときと同じモーターのアース側(レジスターの上流)を測り直しました。ブロアモーターは回り、電圧は1.664Vまで下がっていました。ここはパワートランジスターのNo.1端子(白い線)なので、1.664Vはパワートランジスター自身にかかっている電圧(No.1〜No.3のアースまでの間)ということになります。

| モーターのアース側 | 電圧 | 状態 |
|---|---|---|
| 交換前(故障) | 13.9V台 | 電流が流れず、モーターは回らない |
| 交換後(正常) | 1.664V | 電流が流れ、モーターに約12.2V(13.9V−1.66V)がかかって回る |
電流が流れるようになると、モーターで電圧が使われるぶん、アース側の電圧は大きく下がります。「交換前はバッテリー電圧と同じ、交換後は数ボルトまで下がった」という変化が、直ったことの裏付けになります。
⚠️ 1.664Vは今回の車両での実測値で、整備書に載っている規定値ではありません。アース側の電圧は風量ダイヤルの位置によって変わります(風量を上げるほどレジスターが電流を多く流し、電圧は下がります)。数字そのものより、交換前後の変化で判断してください。
なぜブロアモーターも一緒に替えたのか
今回壊れていたのはレジスターで、ブロアモーターは予防交換です。理由は、レジスターが焼ける原因がモーター側にあることが多いからです。
ブロアモーターは長年回っているうちに軸受けがすり減り、回転が重くなります。回転が重いモーターは電気を多く食うので、その電気を受け持つレジスターに負担がかかり、熱で壊れやすくなります。古いモーターのまま新品のレジスターだけを付けると、また同じように壊れるおそれがあるわけです。
走行15万km、年数も10年を超えた車だったので、モーターもまとめて交換しました。助手席の足元で2つ並んでいる部品なので、同時に替えれば手間も1回で済みます。
💡 風の通り道をふさぐエアコンフィルターの詰まりも、モーターに負担をかける原因になります。
よくある質問
Q1. ヒューズ切れの可能性はありませんか?
あります。風が出ないときは、まずブロアモーター用のヒューズを確認しましょう。ただしヒューズが切れていれば、モーターのプラス側は0Vになります。今回のようにプラス側に13.9V来ていれば、ヒューズは生きています。
Q2. 風は出るけど弱い・特定の段だけ出ない、はどうですか?
レジスター(パワートランジスター)の不調でも起こりますが、エアコンフィルターの詰まりや、ブロアモーターの回転が重くなっている場合もあります。まずはフィルターを見て、それでも変わらなければ今回と同じように電圧を測ってみてください。
Q3. 焦げ臭いにおいがしたのですが、関係ありますか?
レジスターやモーターが熱を持つと、焦げ臭さを感じることがあります。においの原因の見分け方は車が焦げ臭いときの原因の記事で解説しています。
Q4. DIYでできますか?
部品の付いている場所は助手席の足元で、手は届きます。ただし寝そべっての作業になり、テスターでの切り分けも必要です。テスターを使ったことがない方は、無理せず整備工場に相談してください。部品を持ち込めば工賃だけで済むお店もあります。
まとめ
・ステップワゴン(RK1)で風が全く出ないときは、ブロアモーターかレジスター(パワートランジスター)を疑う
・どちらも助手席の足元にある
・モーターのコネクターでプラス側もアース側も同じ電圧なら、レジスター(またはその先の配線・アース・制御信号)を疑う。今回はレジスターの断線だった
・古いモーターは新品レジスターを再び壊す原因になるので、同時交換がおすすめ
ステップワゴンの他の整備はブレーキキャリパー固着の記事でも紹介しています。車種ごとの部品の品番は車種別 部品データベースで調べられます。
整備士 nao(ナオ)
元自動車検査員
整備歴15年
本記事の内容は整備マニュアル・メーカーサービス情報・現場経験に基づき執筆。プロメンテ(sps-nk.com)では実車写真と動画を交えた一次情報を発信しています。





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