- ハイエースが30km/hから振動|タイヤ内部の破損を実車解説
- 結論:2台とも、原因はタイヤ本体でした
- 最大の手がかりは「30km/hから」だった
- 振動が出る速度で、原因はここまで絞り込める
- なぜ「低速から出る」とバランスではないのか
- 実車で確認したこと|ジャッキアップして回すだけ
- タイヤの中で何が起きていたのか|セパレーション
- なぜワイヤーが崩れるのか
- 引き金は、今年の猛暑だったかもしれません
- もう1台は、スタッドレスを夏まで履いていました
- 製造から5年。溝が残っていても寿命は来る
- ハイエース(KDH206)で起きやすい理由
- 2台とも、タイヤ交換で振動は消えました
- ⚠️ 振動を対症療法でごまかしてはいけない
- 同じことを起こさないために
- まとめ
ハイエースが30km/hから振動|タイヤ内部の破損を実車解説
KDH206が2台、同じ症状。ホイールバランスではありませんでした
ハイエース(KDH206)が2台続けて、30km/hくらいから車体とハンドルに振動が出るという症状で入庫しました。最初はホイールバランスを疑いました。でも、よく見たらタイヤそのものが変形していたんです。
結論から言うと、2台ともタイヤを交換したら振動は消えました。原因はタイヤ本体です。
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この記事では、実車の写真と動画を交えて「タイヤの中で何が起きていたのか」を解説します。そしてもうひとつ、整備士が現場で使っている「振動が出る速度で原因を絞り込む」という考え方をお伝えします。これを知っておくと、無駄な部品交換をせずに済みます。
この記事で分かること
・30km/hから出る振動が、ホイールバランスでは説明できない理由
・タイヤの中のスチールワイヤーが剥がれる「セパレーション」とは何か
・猛暑がタイヤの劣化をどう加速させるか
・溝が残っていても寿命は来る、という現実
・ジャッキアップだけでできる、自分でもできる確認方法
結論:2台とも、原因はタイヤ本体でした
まず全体像から共有します。入庫した2台は、車種も症状もほぼ同じでした。
| A車 | B車 | |
|---|---|---|
| 車両 | ハイエース KDH206 | ハイエース KDH206 |
| 症状 | 30km/hくらいから振動 ハンドルにも来る |
30km/hくらいから振動 ハンドルにも来る |
| 最初に疑ったもの | ホイールバランス | ホイールバランス |
| 実際の原因 | タイヤの変形(内部の破損) | タイヤの変形(内部の破損) |
| タイヤの状態 | 2021年製(製造から約5年) | スタッドレスをかなり長く使用 |
| 対処 | 新品タイヤに交換 | 別のタイヤに組み替え |
| 結果 | 振動が解消 | 振動が解消 |
タイヤを替えたら治った。これは診断としてかなり重い意味を持ちます。足回りのガタも、ハブベアリングも、ブレーキも、プロペラシャフトも、全部シロだったということですから。
最大の手がかりは「30km/hから」だった
お客さんから症状を聞くとき、私が必ず確認するのが「何km/hくらいから出ますか?」です。ここで原因がかなり絞り込めるからです。
走行中にハンドルが左右にブルブル震える現象をシミー現象(shimmy=震える、が語源)と言います。これは主に80km/h以下の速度域で発生しやすく、40〜50km/hで出るものを「低速シミー」、100〜120km/hで出るものを「高速シミー」と区別します。
⚠️ 今回の2台は30km/hから出ていました。低速シミーの区分よりさらに低い速度です。これは「ちょっと調子が悪い」レベルではなく、かなり進行した状態だと考えるべきサインでした。
ちなみによく混同されるのがジャダー現象ですが、これは別物です。ジャダー(judder)はブレーキを踏んだときや発進時に車体やハンドル、ブレーキペダルが激しく振動する現象を指します。今回のように常時出ているものはジャダーではありません。
振動が出る速度で、原因はここまで絞り込める
現場で使っている切り分けの目安を表にしました。整備工場に持ち込むときも「いつ出るか」を正確に伝えられれば、それだけで診断が半分終わります。
| 振動の出方 | 疑うところ | 確認方法 |
|---|---|---|
| 30〜40km/hから出て 速度とともに悪化 |
タイヤの形の崩れ (変形・内部の破損) |
ジャッキアップして回し 振れを見る ← 今回 |
| 60〜100km/hの 特定の速度域だけ |
ホイールバランス | バランサーで測定 ウェイト脱落を目視 |
| ブレーキを踏んだ ときだけ |
ブレーキローターの歪み (ジャダー) |
ローターの振れを測定 |
| 常時+ゴーという唸り音 カーブで音が変わる |
ハブベアリング | ジャッキアップして 縦方向にガタを見る |
| 50〜100km/hで フロアやシートから |
プロペラシャフト センターベアリング |
センターベアリングの ゴムの劣化を目視 |
ハブベアリングが原因だったケースはセレナC26のハブベアリング交換で実車解説しています。足回りのガタはハイエース200系アッパーアーム交換、段差での異音はハイエース200系の「カコン」「カチャカチャ」異音もあわせてどうぞ。
なぜ「低速から出る」とバランスではないのか
ここが今回いちばんお伝えしたいポイントです。
ホイールバランスの不良というのは、要するにタイヤとホイールの重さが一部に偏っている状態です。回転すると偏った部分に遠心力がかかり、それが振動になります。
この遠心力は速度の2乗に比例します。速度が2倍になれば力は4倍です。だからバランス不良の振動は「速度が上がるほど強くなる」のが特徴で、逆に低速ではほとんど感じません。「高速道路に入ると出る」というのが典型的なパターンです。
バランスの問題=「重さ」の問題
低速から出る振動=「形」の問題
30km/hという低い速度で振動が出るということは、遠心力ではなくタイヤの形そのものが崩れていて、1回転ごとに突き上げていると考えるのが自然です。
実際、タイヤをバランサーに載せたときは、重さを合わせること以上に「真円で回っているか」を見ることが大事だと言われます。どれだけウェイトを貼っても、タイヤの形が崩れていたら振動は消えないからです。
実車で確認したこと|ジャッキアップして回すだけ
形の崩れを疑ったら、確認方法はシンプルです。ジャッキアップして、タイヤを手で回す。それだけです。
フェンダーの縁とタイヤの表面の隙間を見ながらゆっくり回すと、隙間が広がったり狭まったりするのが分かります。これが振れ(ランナウト)です。専門用語では半径方向の振れをラジアルランナウト、横方向の振れをラテラルランナウトと呼び、タイヤ1回転あたりの最大と最小の差で表します。
実際の様子を動画にしました。タイヤの中で何が起きていたのかまで30秒でまとめてあります。
タイヤを回してフェンダーとの隙間の変化を見る。特別な工具はいりません(30秒・音声なし)
より正確に測るなら、タイヤを回しながらトレッド面の中央と左右両端をダイヤルゲージで測定します。このとき、ホイールの中心と回転の中心をきちんと一致させないと正しい値が出ません。工場ではこの方法で数値を出します。

⚠️ ジャッキアップするときは必ずリジッドラック(ウマ)をかけてください。ジャッキだけで車体の下に手を入れるのは絶対にやめましょう。ハイエースは車重があるぶん、倒れたときのダメージも大きくなります。ジャッキアップポイントは取扱説明書で確認してください。
タイヤの中で何が起きていたのか|セパレーション
タイヤはただのゴムの塊ではありません。中にスチールコード(金属のワイヤー)が層になって埋め込まれていて、これがタイヤの形を保っています。この層をベルトと呼びます。
そして、このワイヤーとゴムの接着が剥がれてしまうのが「セパレーション」です。剥がれた部分だけトレッドが浮き上がるので、タイヤが真円ではなくなります。図で見るとこうです。
厄介なのは、外から見て分かる場合と、分からない場合があることです。ポコッとコブのように出っ張って一目で分かるものもあれば、内部だけが剥離していて外観ではほとんど分からないものもあります。タイヤをホイールから外して内側を見たら、ブクブクと膨らんでいた——というのは現場ではよくある話です。
🚨 セパレーションを起こしたタイヤは修理できません。交換一択です。そのまま乗り続けると、最悪の場合バーストします。
ちなみに、サイドウォール(横の面)がコブのように膨らんでいるものはピンチカットと呼ばれます。これはサイドウォールの中のカーカスコードが切れて、内側の空気圧を支えられなくなって膨らんだ状態です。外してホイールから外し、裏側から見ると裂傷になっています。これも交換一択です。
なぜワイヤーが崩れるのか
「金属のワイヤーが入っているのに、なぜ崩れるの?」と思われるかもしれません。順を追って説明します。
① 走るたびにタイヤは変形し、発熱する
タイヤは接地するたびに潰れて、また戻る。これを何万回、何百万回と繰り返します。そのたびに熱が出ます。
② 熱と変形の繰り返しで、ゴムが劣化していく
ゴムは熱に弱い素材です。変形と発熱を繰り返すうちに、少しずつ硬化して劣化が進みます。
③ ゴムにひび割れが出る
劣化が進むと、表面に細かいひび割れが出てきます。
④ ひび割れから水分が入り、ワイヤーが錆びる
ここが決定的です。ひび割れができると、中のワイヤーが外気や水にさらされます。そうするとワイヤーが錆びてくる。
⑤ ゴムとワイヤーの接着が剥がれる=セパレーション
錆びた金属にゴムは食いつきません。接着が負けて、剥離が始まります。
この流れを加速させる要因が、はっきりしています。
| 要因 | 何が起きるか |
|---|---|
| 空気圧不足 | タイヤの変形量が増えて過熱し、トレッドが剥離する(ヒートセパレーション) |
| 過荷重(積みすぎ) | タイヤの負担が増え、内部が支えきれなくなる |
| 高速走行による発熱 | 変形の回数が増え、熱がたまる |
| 経年劣化 | ひび割れ→水分侵入→ワイヤーの錆、というルートに入る |
空気圧についてはタイヤ空気圧の正しい点検方法で詳しく解説しています。インチアップしている方はタイヤサイズ変更時の空気圧計算方法も確認してください。
引き金は、今年の猛暑だったかもしれません
今回、2台が立て続けに同じ症状で入ってきたのが8月でした。「暑さのせいで変形したんじゃないか」——最初にそう思いました。
断定はできません。経年も空気圧も荷重も絡む複合的な問題だからです。ただ、熱がこのプロセスを後押しするのは間違いありません。
まず、2026年の夏は数字の上でも異常でした。気象庁の発表によると、2026年7月中旬から下旬にかけての西日本の平均気温は、1946年の統計開始以降で最も高い記録を更新しています。40℃以上の「酷暑日」も、8月3日時点で延べ34地点と、2010年以降で最多でした。
真夏の路面温度は50〜60℃以上に達することが珍しくありません。タイヤは常に路面と接していますから、この熱がゴムに伝わり、内部温度も上がります。さきほどの「①変形して発熱する」のところに、外から熱が足されるわけです。
🔥 JAFの実験データが分かりやすいので紹介します。
空気圧を半分にしたタイヤで走行テストをしたところ、100km/hの段階で表面が発熱しはじめ、200km/hで表面が波打ち、温度は100℃を超え、210km/hでバーストしました。
一方、適正空気圧のタイヤは同じ210km/hでも外観に問題がなく、温度は60℃程度でした。
空気圧が足りないだけで、タイヤの中はここまで違う状態になります。
ちなみに、空気圧が低い状態で高速走行するとスタンディングウェーブ現象が起きます。接地面より後ろが波打つように変形する現象で、接地部分の歪みが波として伝わるのですが、波が伝わる速度よりタイヤの回転が速くなると、波が重なり合って大きな波になり、タイヤを変形させます。こうなるとタイヤは不規則に揉まれて急速に加熱し、短時間でバーストすることが多いです。
その前兆が「車体が小刻みに振動し、やがて大きな振動に変わる」、そしてゴムが焼けるような臭いです。振動というのは、それだけで危険信号なんです。
もう1台は、スタッドレスを夏まで履いていました
B車のタイヤがこちらです。ヨコハマのiceGUARD——スタッドレスタイヤです。これを8月まで履いていました。



スタッドレスタイヤは、夏タイヤよりゴムが柔らかく作られています。氷の上でグリップさせるために、低温でも硬くならないゴムを使っているからです。
ところが夏はどうなるか。ブリヂストンの公式サイトにこう書かれています。路面温度の高い時期は「もともと柔らかいゴムがさらに柔らかくなり、路面との摩擦が起きにくくなる」と。制動距離が伸びるという話ですが、同時に摩耗も進みます。接地面が削られやすくなり、通常以上に寿命が縮みます。
さらに、高温の路面を柔らかいゴムで走ると変形して負担がかかり、発熱しやすくなってバーストの可能性が高くなるとも指摘されています。
猛暑 → 柔らかいゴムがさらに軟化 → 変形しやすくなる → ショルダーが持っていかれる → 発熱が増える → 内部の劣化が進む
この流れが、写真の状態を作ったと考えています。
スタッドレスは冬の性能を優先して作られたタイヤです。夏に履き続けると、制動距離が伸びるだけでなく、深い溝と柔らかいゴムのせいでステアリングに遊びが生まれ、コーナリングで膨らむこともあります。シーズンが終わったら夏タイヤに戻す——地味ですが、これが一番効きます。
製造から5年。溝が残っていても寿命は来る
A車のタイヤは2021年製でした。2026年の今から数えて約5年落ちです。
「まだ溝があるのに?」と思われるかもしれません。でも、これがまさに業界が言い続けていることの実例なんです。
■ 使用開始から5年以上
継続して使えるかどうか、タイヤ販売店などで点検を受けることが推奨されています。
■ 製造から10年
外観上は問題なく見えても、新しいタイヤへの交換が推奨されています(スペアタイヤも含む)。
溝の深さが十分でも、ゴムの硬化にともなって排水性能やグリップ力は少しずつ低下していきます。
「5年で点検」というのは、メーカーが商売でそう言っているわけではありません。実際に5年でこうなるんです。今回がその実例でした。
自分のタイヤが何年製か調べる方法
タイヤの側面(サイドウォール)を見ると、楕円で囲まれた4桁の数字があります。これが製造年週です。
📅 読み方:最初の2桁が「週」、後ろの2桁が「年」
例)1220 → 2020年の12週目に製造
例)3021 → 2021年の30週目に製造
4本とも同じとは限りません。1本ずつ確認してみてください。
ハイエース(KDH206)で起きやすい理由
KDH206は、1KD-FTV 3.0Lディーゼル・4WDのハイエースバンです。純正タイヤサイズは195/80R15で、これは乗用車用ではなくLT規格(ライトトラック規格)のタイヤです。
LT規格のタイヤは、乗用車用に比べて指定空気圧がかなり高く設定されています。一般的な乗用車が200〜250kPa程度なのに対し、ハイエースは300kPa台から、積載条件によっては400kPaを超える設定もあります。
⚠️ 空気圧の指定値は、必ず運転席側のドア開口部に貼ってあるステッカーで確認してください。グレード・年式・積載条件(軽積載/定積載)で値が変わります。ネットの情報や「だいたいこれくらい」で入れるのは危険です。
ここからは整備士としての経験の話になりますが、ハイエースがタイヤに厳しい理由はいくつも重なっています。
| ハイエースの特性 | タイヤへの影響 |
|---|---|
| 車重が重い | 1回転あたりの変形量・発熱量が乗用車より大きい |
| 積載量が日によって変わる | 荷重条件が一定しない。空荷に合わせると積んだとき不足する |
| リヤが板バネ | 路面からの入力がタイヤに直接届きやすい |
| 仕事車なので走行距離が伸びる | 変形と発熱の回数が単純に多い |
| ローテーションが後回しになりがち | 偏摩耗が育ちやすい |
ホイールまわりではハイエースにキャラバンのホイールは付かない(ハブ径の違い)という落とし穴もあります。同じKDH206の整備事例としてはドライブシャフトブーツ破れの交換も参考になるはずです。
2台とも、タイヤ交換で振動は消えました
結果をお伝えします。
A車は新品タイヤに交換しました。振動は完全になくなりました。
B車は事情が違いました。オーナーさんに予算の都合があり、新品ではなく中古の夏タイヤに組み替えるという選択になりました。決して新しいタイヤではありません。それでも、振動は解消しました。
ここに大事なヒントがあります。
古いタイヤに替えても症状が消えたということは、振動の原因は「タイヤが古いこと」そのものではなく、「そのタイヤの内部が壊れていたこと」だったということです。
経年は引き金にすぎません。症状を出しているのは、実際に壊れてしまった個体です。逆に言えば、同じくらいの年式でも壊れていなければ振動は出ません。
だから年式だけでは判断できない。症状と現物を見るしかないんです。
🚨 誤解しないでいただきたいこと
これは「古い中古タイヤで十分」という話では、まったくありません。本来は新品が望ましいのは当然です。
お伝えしたいのは逆で、予算を理由に先延ばしにするくらいなら、まず替えるべきほど危険な状態だったということです。バーストしてからでは、タイヤ代どころの話では済みません。
整備士nao の現場コメント
あそこまで変形するとバーストなども考えられるので、早めに入庫してもらえてよかったと思っています。
振動って、「なんか最近ハンドルが震えるな」くらいで乗り続けてしまう人が本当に多いんです。でも今回のケースは、我慢していい不快感ではありませんでした。
⚠️ 振動を対症療法でごまかしてはいけない
ここでひとつ注意喚起をしておきます。
200系ハイエースの振動対策として、ステアリングダンパー(ステアリングシェイクダンパー)の後付けがよく紹介されています。純正でネジ穴が用意されているのに未装着になっている、という話です。実際、微振動が減って乗り味が良くなるというカスタムではあります。
🚨 ですが、今回のようなケースでこれをやってはいけません。
ダンパーがするのは「振動を吸収して感じにくくすること」です。タイヤの内部が壊れているという事実は、何ひとつ変わりません。
むしろ危険なのは、異常を知らせてくれていた振動が消えてしまうことです。バーストの前兆を自分で握りつぶすことになります。
振動が出たら、まず原因を特定する。それが整備の順番です。原因を潰さずに感覚だけ良くするのは、警告灯のバルブを抜くのと同じことです。
同じことを起こさないために
① 空気圧は「冷えているとき」に測る
走行直後はタイヤの内部温度が上がっていて、空気圧が高めに出ます。正確に測るなら走る前の冷えた状態で。月に1回を目安にしてください。空気圧は1か月に5%程度は自然に低下するとされています。何もしなくても減っていくということです。
② 夏に高く出ても、エアを抜かない
これは本当に多い勘違いです。
空気圧は気温が10℃上がると約10kPa上がり、10℃下がると約10kPa下がると言われます。夏場、直射日光に当たったタイヤは約20kPa、日陰でも約10kPaほど高く出ます。
⚠️ ここで「高いから」とエアを抜いてしまうと、タイヤが冷えたときに指定値を下回ります。そして空気圧不足は、この記事で見てきたとおり発熱→変形→内部の劣化という一番まずいコースの入口です。
暑い日に高く出ているのは正常です。抜かないでください。
③ ローテーションは早めに、こまめに
偏摩耗、特にブロックがノコギリ歯状に減る段減り(ヒール&トゥ摩耗)は、スタッドレスのようなブロックパターンのタイヤに多く出ます。原因はローテーションをせずに使い続けること、空気圧不足、トーイン不良、ホイールベアリングのガタなどです。
ポイントは1回目のローテーションを3,000〜5,000kmを目安に早めにやること。段減りは成長しきってしまうと元に戻せません。育つ前に潰すのが正解です。
④ 月1回、タイヤをぐるっと見る
洗車のついででかまいません。次のポイントを見てください。
✔ サイドウォールにコブのような膨らみがないか
✔ 表面にひび割れが出ていないか
✔ ショルダーだけが異常に減っていないか
✔ ブロックがノコギリ歯状に段になっていないか
✔ スリップサイン(残り溝1.6mm)が出ていないか
✔ 側面の4桁の製造年週が古くなりすぎていないか
タイヤ交換を自分でやる方はタイヤ交換を自分でやる方法もあわせてどうぞ。締め付けトルクの管理は必ず守ってください。
まずは空気圧を測るところから
ガソリンスタンド任せにせず、自宅に1本あると点検が習慣になります。ハイエースのようなLT規格のタイヤは、400kPa以上まで測れるものを選んでください。乗用車用の目盛りしかないゲージだと測りきれません。
💡 整備士から一言:エアゲージはペンシル型より、目盛りが読みやすいダイヤル型かデジタル式がおすすめです。高価なものである必要はありませんが、年に一度はスタンドの機械と読みを突き合わせてズレていないか確認してください。狂ったゲージで管理するのが一番まずいです。
交換時期が来ていたら
ハイエース200系(KDH206など)の純正サイズは195/80R15です。必ずLT規格のものを選んでください。乗用車用では荷重に耐えられません。
ハイエースのLTサイズは国産だと負担が大きいので、輸入タイヤ通販のオートウェイもひとつの選択肢です。タイヤピット(全国の提携店)で取付までお願いできるので、届いたタイヤの持ち込み先に困りません。
💡 輸入タイヤと国産タイヤの実際の差については海外タイヤと国産タイヤの違いを1級整備士が本音で比較で書いています。どちらを選ぶにせよ、今回のような内部の破損は銘柄に関係なく起きます。大事なのは空気圧と、定期的に見ることです。
まとめ
・ハイエース KDH206が2台、30km/hから振動。原因はどちらもタイヤ本体だった
・低速から出る振動はバランス(重さ)ではなく、形の崩れを疑う
・タイヤの中のスチールワイヤーとゴムが剥がれるのがセパレーション。修理はできない
・変形→発熱→ひび割れ→ワイヤーの錆→剥離という流れで進む
・猛暑はこの流れを加速させる。空気圧不足があればなおさら
・製造から5年で実際に起きた。溝が残っていても寿命は来る
・ダンパーなどで振動をごまかしてはいけない。原因を特定して直す
最後にもう一度だけ。30km/hで震え出したら、それは我慢する不快感ではなく、破裂までのカウントダウンかもしれません。
「なんか震えるな」と感じたら、まずジャッキアップしてタイヤを回してみてください。それだけで分かることが、けっこうあります。自信がなければ、早めに整備工場へ。今回のお2人も、早めに持ってきてくださったから大事に至りませんでした。
整備士 nao(ナオ)
元自動車検査員
整備歴15年
本記事の内容は整備マニュアル・メーカーサービス情報・現場経験に基づき執筆。プロメンテ(sps-nk.com)では実車写真と動画を交えた一次情報を発信しています。



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