足回り・異音修理
アクア リアハブベアリング交換|ゴーゴー音の原因と締付トルク
NHP10 実車/品番・異音の見分け方・固着したハブの外し方・締付トルク90N·mまで
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「走っていると、後ろのほうからゴーゴーという音がする」。アクアでこの症状が出たら、まず疑いたいのがリアのハブベアリングです。
今回は、走行中のゴーゴー音で入庫したトヨタ アクア(DAA-NHP10・2017年4月登録)のリアハブベアリングを交換しました。アクアのリアハブは、ベアリングとハブ、さらにABSのセンサーまで一体になった「ユニット」で、ボルト4本で留まっています。ボルトを外せば抜ける……はずなのですが、実際には錆でバックプレートにくっついて、外すのにいちばん苦労しました。
使った部品は JTEKT(Koyo)の 3DACF026F-24HS-AM(純正品番 42450-52060)、ハブを留めるボルトの締め付けトルクは整備書の規定値で 90 N·m です。異音の見分け方、固着したハブの外し方まで、実車の写真で解説します。
この記事で分かること
- アクアのリアハブベアリングの品番(純正・社外品)
- ゴーゴー音がハブベアリングか、タイヤか、を見分けるポイント
- 錆で固着したハブの外し方(スライディングハンマー)
- 締付トルク90 N·m(ボルト4本・14mm)と、ブレーキ調整が要るかどうか
今回の車両と交換部品
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 車種・型式 | トヨタ アクア DAA-NHP10(ハイブリッド・FF) |
| 初度登録 | 2017年4月 |
| 入庫時の症状 | 走行中に後ろからゴーゴー音 |
| リアブレーキ | ドラムブレーキ |
| 使用部品 | JTEKT(Koyo)ハブユニット 3DACF026F-24HS-AM(ABSセンサー一体) |
| 締付トルク | ハブ取付ボルト 4本 90 N·m(918 kgf·cm)(整備書の規定値) |
| いちばん苦労した所 | ハブが錆でバックプレートにくっついて外れない → スライディングハンマーで外した |
| そろえる工具 | 14mmのソケット・メガネレンチ/スライディングハンマー/トルクレンチ(90N·mが測れるもの)/細いマイナスドライバー(コネクタ用)/ジャッキとウマ(リジッドラック) |
ゴーゴー音はハブベアリング?見分け方
ハブベアリングは、タイヤと一緒に回る「ハブ」を支えている軸受けです。中の玉やレースが傷むと、回るたびに「ゴー」「ゴーゴー」「ウォンウォン」という低い音が出るようになります。
やっかいなのは、この音がタイヤのロードノイズとよく似ていることです。次の点を目安にしてください。
① 速度に合わせて音が大きくなる:アクセルを踏んでも離しても鳴り、止まると止む
② 後ろのほうから聞こえる:リアの場合、後席に座ると音が大きく感じやすい
③ タイヤを替えても・ローテーションしても消えない:タイヤが原因なら、位置を入れ替えると音の出方が変わることが多い
④ 車を上げて手で回すと、ゴロゴロした感触がある:整備工場ではこれで最終確認します
タイヤが原因の振動・異音の実例はこちらで書いています。タイヤとベアリングの切り分けの参考にしてください。
▶ ハイエースが30km/hから振動|タイヤ内部の破損を実車解説
ABS警告灯が点くこともある
アクアのリアハブは、ABSのセンサー(車輪速センサー)がハブと一体になった部品です。そのため、ベアリングの音とは別に、センサー側の不具合でABS・VSCの警告灯が点くことがあります。
ただし、警告灯はセンサーに鉄粉が付いただけでも、コネクタの錆や接触不良でも点きます。いきなりハブごと替えるのではなく、まず故障コードを読んで原因を確かめるのが先です。確かめ方はこちらで詳しく書いています。
▶ 車輪速センサーの故障診断|ABS警告灯の原因をOBD2と実測で特定する方法
アクアのリアハブベアリング品番|純正と社外品
今回使ったのは、JTEKT(ジェイテクト)のKoyoブランドのハブユニット 3DACF026F-24HS-AM です。箱のラベルには「3G006」という番号と、「MADE IN JAPAN」の表記があります。JTEKTはトヨタ系の軸受けメーカーで、Koyoはそのベアリングのブランドです。
| 区分 | 品番 | 備考 |
|---|---|---|
| JTEKT(Koyo) | 3DACF026F-24HS-AM | 今回使用。ABSセンサー付き。箱の番号は 3G006 |
| トヨタ純正 | 42450-52060(後継 42450-52061) | JTEKT公式の製品ページに参考純正品番として掲載。米国のトヨタ販売店の部品カタログ(プリウスc=型式NHP10)では、52060から52061に切り替わっている |
新品のハブを裏から見たところです。黒い丸い部分がABSのセンサーで、「DENSO 89544-12030」の刻印があります。下に出ているのがセンサーのコネクタです。このように、センサーまで丸ごと1つの部品になっています。
⚠️ 今回確認できたのは、2017年4月登録のNHP10に 3DACF026F-24HS-AM がそのまま付いたところまでです。前期・後期やグレードで品番が変わらないかは、純正カタログでは確認できていません。通販で買う前に、車検証の型式と車台番号を控えて、部品商かディーラーで照合してもらうのが確実です。
品番や適合車種は、プロメンテの部品データベースでも調べられます。3DACF026F-24HS-AM も実物写真つきで登録しています。
ハブベアリングは日本メーカー品を
ハブベアリングは、通販で激安の無名ブランド品が多く出回っている部品です。ハブはタイヤを支えている部品で、ここが走行中に壊れれば大きな事故につながります。JTEKT(Koyo)・NTN・NSKなど、日本の軸受けメーカーの正規品を選んでください。
交換用のリアハブベアリングを探す
今回使った JTEKT(Koyo)3DACF026F-24HS-AM(ABSセンサー付き)。左右2個セットではなく1個売りです。
⚠️ 購入前に車検証の型式・車台番号で適合の確認を。激安の無名品は避けてください。
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アクアのリアハブベアリング交換手順
⚠️ 安全のために ジャッキアップした車の下にもぐる作業です。必ずウマ(リジッドラック)をかけ、ジャッキだけで支えた状態で下に入らないでください。前輪には輪止めを。ブレーキまわりの作業なので、作業後は必ずブレーキの効きを確認してから走り出してください。
1. 後ろを上げて、タイヤとブレーキドラムを外す
車の後ろを上げてウマをかけ、リアのタイヤを外します。続いてブレーキドラムを外します。今回の車は、ドラムはすぐに外れました。
ドラムを外したところです。真ん中の、タイヤを留めるハブボルトが4本立っている円盤がハブです。表面が茶色く錆びているのが分かります。まわりに見えているのはドラムブレーキのシューやホイールシリンダで、今回はここには手を付けていません。
2. ABSセンサーのコネクタを外す
ハブと一体のABSセンサーには、ハブの裏側にコネクタの差し込み口があり、車体側の配線(スキッドコントロールセンサワイヤ)のコネクタが直接差さっています。写真はバックプレートの裏側から見た車体側のコネクタです。ハブを外す前に、このコネクタを抜いておきます。
コネクタは爪でロックされていて、固くて外しにくいことがあります。細いマイナスドライバーで爪を押さえながら、無理に引っ張らずに外してください。
3. ハブ取付ボルト4本(14mm)を外す
ハブそのものは、ハブ取付ボルト4本で車体側に留まっています(タイヤを留めるハブボルトとは別のボルトです)。ボルトの頭は14mmです。錆で固いことがあるので、浸透潤滑剤を吹いてから緩めると安心です。
4. 固着したハブをスライディングハンマーで外す
ここが、この作業でいちばんの難所です。ハブ取付ボルトを4本とも外しても、ハブが錆でバックプレートにくっついていて、まったく外れませんでした。
手で揺すったくらいでは動かないので、スライディングハンマー(おもりを滑らせて、引っ張る方向に衝撃を与える工具)を使って引き抜きました。少しずつ衝撃を加えて、ハブとバックプレートのくっつきを切っていくイメージです。
ハブが外れたところです。真ん中に大きな穴が開き、そのまわりにハブを留めていたボルトの穴が見えます。ブレーキシューやホイールシリンダは付いたままで、ハブだけが抜けています。
⚠️ ハンマーでバックプレートを強く叩かない バックプレートにはブレーキシューやホイールシリンダが付いていて、裏にはブレーキの配管も通っています。叩いてバックプレートを曲げると、ブレーキの部品まで傷めます。スライディングハンマーでハブのほうを引き抜くのが安全です。
5. 新品のハブを付けて、締め付けトルク90 N·mで締める
新品のハブは、箱の中で紙の筒とビニールに包まれて入っています。取り付ける前に、バックプレート側の当たり面の錆を落としておくと、ハブがまっすぐ座りやすくなります。
ハブをバックプレートの穴に差し込み、ハブ取付ボルト4本を規定トルクで締めます。締め付けトルクは整備書(修理書での部品名は「リヤアクスルハブ&ベアリングASSY」)の規定値で、次のとおりです。
| 締める場所 | 締付トルク | 本数・サイズ |
|---|---|---|
| リアハブ(ハブ&ベアリングASSY)取付ボルト | 90 N·m(918 kgf·cm) | 4本・14mm |
ネットでは、このボルトの締付トルクとして違う数値が紹介されていることもあります。ですが、整備書の規定値は90 N·mです。トルクレンチを使い、一般的な締め方として、4本を対角の順に少しずつ均等に締めていってください。
交換後です。錆びていた交換前の写真と比べると、ハブがきれいな新品になっています。このあとABSセンサーのコネクタを差し込み、ブレーキドラムとタイヤを付けて完了です。ホイールナットも、取扱説明書の規定トルクで締めてください。
ブレーキの調整は要る?
今回は、交換後のブレーキ調整はしていません。ハブを替えただけで、ブレーキシューやホイールシリンダなどブレーキそのものは分解していないからです。
ただし、ハブが固着してバックプレートごと外した場合は話が別です。ブレーキの配管を外せばエア抜きが必要になります。パーキングブレーキのワイヤーを外した場合も、整備書の手順に沿って、ブレーキの効きとパーキングブレーキの引きしろまで確認してください。
よくある質問
Q1. 異音を放置するとどうなりますか?
ベアリングの傷みは進むことはあっても、自然に治ることはありません。音がだんだん大きくなり、やがてハブにガタが出てきます。ガタが大きくなると車検にも通りませんし、最悪の場合は走行に支障が出ます。音に気づいた時点で点検を受けてください。
Q2. 寿命や交換時期の目安はありますか?
ハブベアリングには、オイルのような決まった交換時期はありません。音やガタが出たら交換、という部品です。アクアのリアでは、整備工場やオーナーの交換記録を見ると、8万〜17万kmあたりで交換している例が多いです。ただし、縁石に強く当てたあとなどは、3万km台で傷んだ例もあります。距離にかかわらず、ゴーゴー音に気づいたら点検してください。
Q3. 左右同時に替えたほうがいいですか?
音が出ている側だけの交換で構いません。ただ、同じ年数・同じ距離を走っているので、反対側も同じように傷んでくる可能性はあります。片側を替えたあとに反対側から音が出始めることもあるので、交換したら反対側の音にも注意しておいてください。
Q4. DIYでできますか?
車を安全に上げられる場所、スライディングハンマー、90N·mまで測れるトルクレンチがそろえば、作業としてはできます。ただ、今回のようにハブが固着していると、外すのにかなりの力と時間がかかります。工具が無い場合や、外れなくて困ったときは、無理をせず整備工場に依頼してください。
なお、この作業はブレーキドラムを取り外して行うため、法令上の分解整備に当たります。(道路運送車両法施行規則 第3条第5号)。自分の車を自分で整備するのは構いませんが、他人の車を仕事として整備するには、地方運輸局長の認証を受けた工場(特定整備事業)である必要があります。
Q5. ボルト止めのユニット式と、圧入式は何が違いますか?
アクアのリアは、ハブ取付ボルトを外せばユニットごと交換できる作りです。車種によっては、ベアリングをナックルに圧入してあり、専用工具(SST)とプレスで抜き差ししなければならないものもあります。圧入式の交換例はこちらです。
▶ ハイエース ハブベアリング交換|SST必須の理由と締付トルク
まとめ
・走行中に後ろからゴーゴー音がしたら、リアハブベアリングを疑う
・アクア(NHP10)のリアハブはABSセンサー一体のユニット。今回は JTEKT(Koyo)3DACF026F-24HS-AM/純正 42450-52060(後継52061)
・ハブはハブ取付ボルト4本(14mm)で留まっている。締め付けトルクは90 N·m(整備書の規定値)
・いちばんの難所は錆によるバックプレートとの固着。スライディングハンマーで引き抜いた
・今回はブレーキを分解していないので、交換後のブレーキ調整はしなかった
ハブベアリングの異音を修理書のトルクまで解説した、ほかの車の実例はこちらです。
▶ 【日産セレナ C26】60km/hで異音→ハブベアリング交換|修理書トルク完全解説
整備士 nao(ナオ)
元自動車検査員
整備歴15年
本記事の内容は整備マニュアル・メーカーサービス情報・現場経験に基づき執筆。プロメンテ(sps-nk.com)では実車写真と動画を交えた一次情報を発信しています。










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