- はじめに:車検で落ちた、と言われた経験はありませんか
- そもそも「車検で落ちる」とは
- ① ヘッドライトの光量不足・光軸ズレ
- ② タイヤの摩耗・スリップサイン露出
- ③ ワイパーの拭き残し・ゴム劣化
- ④ ホーンの音量・音色不適合
- ⑤ 車高の不適合(特に最低地上高)
- ⑥ マフラーからの排ガス基準値オーバー
- ⑦ ブレーキの効き不足・左右差
- ⑧ 灯火類の球切れ(テールランプ・ブレーキランプ・ウインカー)
- ⑨ 後付けパーツによる保安基準違反
- ⑩ オイル漏れ・冷却水漏れ
- ⑪ ブーツ類の破れ(ドラシャ・タイロッド・ロアアーム)
- ⑫ ABS警告灯・エアバッグ警告灯の点灯
- ⑬ ナンバープレートの折れ・汚れ・封印破損
- ⑭ 速度計(スピードメーター)誤差
- ⑮ 整備記録簿の不備(指定工場での車検)
- 📋 車検前セルフチェックリスト(コピーして使用OK)
- 🔧 整備士naoの本音:費用を抑える3つのコツ
- よくある質問
- 整備士からのまとめ
はじめに:車検で落ちた、と言われた経験はありませんか
「あと少しで通ったのに…」「想定外の追加整備で5万円かかった…」
車検でこんな経験をしたことのある方は、決して少なくありません。私(庄子直孝・1級自動車整備士/元自動車検査員)は、整備工場での車検対応・指定工場の検査ライン担当として、15年で数千台の車検に携わってきました。
本記事では、「検査員が実際に何を見て、なぜ落とすのか」を15項目に整理してお伝えします。整備士・ディーラーが言わないこともあります。これを読めば、車検前に自分でチェックできるポイントが明確になります。
そもそも「車検で落ちる」とは
車検(継続検査)では、保安基準に適合しているかを検査員が判定します。不適合と判断されれば「不合格=落ちる」で、再受検が必要です。陸運支局(指定工場での車検も同じ基準)。
陸運支局のレーンでは検査員が次の流れで判定します:
- 外観検査(同一性確認・灯火類・タイヤ等)
- サイドスリップ検査
- ブレーキテスター
- スピードメーター検査
- ヘッドライト光量・光軸検査
- 排ガス検査(CO・HC濃度)
- 下廻り検査(リフトアップ/ピット)
- 同一性・書類確認
このうちどこか1箇所でも不適合なら不合格です。では、検査員視点で「実際によく落ちる15項目」を解説します。
① ヘッドライトの光量不足・光軸ズレ
これが車検不合格の堂々第1位です。私が検査員をやっていた頃も、不合格件数の3〜4割はライト関連でした。
主な原因
- レンズの黄ばみ・くすみ → 光量がダダ漏れ
- バルブの劣化(ハロゲンの白化、HIDのバーナー劣化)
- 後付けLED/HIDの光軸ズレ・色温度オーバー
- レンズ内側の曇り(湿気混入)
検査員視点の本音
2015年9月以降、車検時のヘッドライト検査は「ロービーム検査」が原則です。それまでハイビームで合格していた古い車が、ロービーム検査で次々落ちるようになりました。「前回通ったから今回も大丈夫」は通用しません。
対策
- レンズの黄ばみ除去(コンパウンド・専用クリーナー)
- バルブを新品に交換(左右同時)
- 後付けLEDは「車検対応」と明記された製品を選ぶ
- 事前にテスター屋(民間光軸調整)で確認(500〜1,000円程度)
② タイヤの摩耗・スリップサイン露出
タイヤの溝が1.6mm未満(スリップサイン露出)で即不合格。意外と気づかない方が多い項目です。
特に偏摩耗(内側だけ摩耗、片べり)は要注意。アライメント不良・空気圧不足で発生します。
検査員視点の本音
タイヤサイドのひび割れも見ます。製造から5年以上のタイヤは、溝が残っていてもひびで落ちる場合があります。「サイドウォールの製造週」を確認するのが整備士の習慣です。
③ ワイパーの拭き残し・ゴム劣化
ワイパーで「視野が確保できない」と判断されると不合格。具体的には:
- ゴムが切れている/めくれている
- 拭き取り跡にスジが残る
- 運転席側の視界に大きな曇り跡
1本500〜1,500円の部品で落とされるのは正直もったいない。車検前に必ず動作確認を。
④ ホーンの音量・音色不適合
「ピー」「ピロピロ」など特殊音色のホーンは不合格。純正の「プー」音以外は基本NGです。
また、ホーンが鳴らないだけでも不合格。意外な落とし穴ですが、リレー不良で鳴らないケースが年に何件かあります。
⑤ 車高の不適合(特に最低地上高)
最低地上高9cm未満で不合格。エアロパーツ装着車・車高調整車は要注意。
検査員視点の本音
車検場のレーンに入った瞬間、検査員は車を見ただけで「これ、車高アウトだな」と分かります。「ちょっと擦るかも」レベルの車は1台もありません。明らかにダメなものを通せと言われる方が困ります。
⑥ マフラーからの排ガス基準値オーバー
CO(一酸化炭素)・HC(炭化水素)の濃度が基準を超えると不合格。
| 項目 | 基準値 |
|---|---|
| CO濃度 | 1.0%以下(年式により異なる) |
| HC濃度 | 300ppm以下(年式により異なる) |
主な原因
- O2センサー劣化
- 触媒(キャタライザー)の機能低下
- プラグ・点火系不調
- エアフィルター詰まり
10万km超え車は要注意。事前に整備しておくのが鉄則です。
⑦ ブレーキの効き不足・左右差
ブレーキテスターで「制動力不足」「左右差過大」と判定されると不合格。整備士のサイドでは想定外の落とし穴です。
検査員視点の本音
「左右差」が一番厄介です。片側だけパッド摩耗が進んだり、片側のキャリパー固着があると一発で出ます。「自分でパッド交換した直後の車検」で意外と落ちます。エア抜きが不十分だったり、固着したまま組んだケース。
⑧ 灯火類の球切れ(テールランプ・ブレーキランプ・ウインカー)
意外と多い落ち項目。ナンバー灯・室内灯の球切れも対象です。
検査員視点の本音
外観検査の最初に灯火類を確認します。「右ブレーキ片方切れ」とかで戻されると、検査員側も「もったいない」と思いながら不合格を出さざるを得ません。事前に必ず1人で全灯火を確認してください。
⑨ 後付けパーツによる保安基準違反
- 車検非対応のドアミラー(小型化された社外品)
- 明らかに視界を遮るカーフィルム(フロント3面は可視光線透過率70%以上必須)
- テール周辺の貼り付け式LED
- 違反マフラー(音量・脱着不可改造)
- 突起物(ボンネットマスコット等)
検査員視点の本音
「これでバレないだろう」は通用しません。検査員はそういう改造車を毎日見ているので、一発で見抜きます。
⑩ オイル漏れ・冷却水漏れ
下廻り検査で漏れが確認されると不合格。「滲み」と「垂れる漏れ」は別判断ですが、地面に落ちるレベルの漏れは即アウトです。
主な発生箇所
- エンジンオイルパン・カムカバー
- ATFパン・ドレンボルト
- パワステフルードのホース
- ラジエターホース・ウォーターポンプ
⑪ ブーツ類の破れ(ドラシャ・タイロッド・ロアアーム)
下廻り検査の重要ポイント。ブーツの破れは1か所でも不合格です。
- ドライブシャフトブーツ(インナー・アウター)
- タイロッドエンドブーツ
- ロアボールジョイントブーツ
- ステアリングラックブーツ
古い車は劣化でひび割れ・亀裂が入りやすい。車検前にリフトアップしてチェックするのが整備士の常識です。
⑫ ABS警告灯・エアバッグ警告灯の点灯
2017年2月以降の保安基準改正で、ABS・エアバッグ警告灯の点灯は不合格になりました。それ以前は黙認されていた項目です。
検査員視点の本音
「警告灯点いてるけど普通に走るから大丈夫」は今は通用しません。OBD-II 検査の本格運用も始まっており、今後さらに厳しくなります。
⑬ ナンバープレートの折れ・汚れ・封印破損
- ナンバープレートの折り曲げ・取り付け角度違反
- 後ろナンバーの封印破損(盗難防止のあのアルミキャップ)
- ナンバープレートカバーの装着
- ナンバー灯の球切れ(前述)
地味だが意外と落ちる項目です。
⑭ 速度計(スピードメーター)誤差
スピードメーターの誤差が許容範囲を超えると不合格。40km/h時で −22.5%〜+10%の範囲に収まる必要があります。
主な原因
- タイヤサイズ変更(インチアップ・社外サイズ)
- タイヤ摩耗による外径減少
- センサー不良
インチアップ時はタイヤサイズ比較計算ツールで速度誤差を必ず確認しましょう。
⑮ 整備記録簿の不備(指定工場での車検)
これは陸運支局の検査員ではなく、指定工場(民間車検場)での落ち項目。整備記録簿の記入漏れ・印鑑漏れで戻されることがあります。ユーザー車検でも自分で記録簿を作って持参すると印象が良いです。
📋 車検前セルフチェックリスト(コピーして使用OK)
| 項目 | チェック |
|---|---|
| ヘッドライトの黄ばみ・点灯確認 | □ |
| タイヤ溝(1.6mm以上)・ひび割れ | □ |
| ワイパー拭き取り確認 | □ |
| ホーン作動確認 | □ |
| 最低地上高(9cm以上) | □ |
| マフラー音量・排ガス | □ |
| ブレーキ効き・引きずり | □ |
| 全灯火類の球切れチェック | □ |
| 後付けパーツの基準適合 | □ |
| オイル・冷却水漏れ | □ |
| ブーツ類の破れ | □ |
| 警告灯(ABS・エアバッグ等)の有無 | □ |
| ナンバープレート・封印 | □ |
| スピードメーター誤差(タイヤ変更時) | □ |
| 整備記録簿の整備 | □ |
🔧 整備士naoの本音:費用を抑える3つのコツ
1. ユーザー車検なら3〜5万円安くなる
ディーラー車検 8〜15万円 vs ユーザー車検 5〜8万円。法定費用+自賠責は同じなので、差は「車検代行手数料・整備工賃」。自分で陸運支局に持ち込めば、まるごと節約できます。詳しくは ユーザー車検 完全マニュアル へ。
2. 自分でできる事前点検でほぼ防げる
本記事の15項目は、10項目以上は素人でも目視チェック可能です。「車検前に自分で1時間かけてチェック」だけで、当日の不合格率は劇的に下がります。
3. 不合格になっても再受検は2週間以内なら追加費用ゼロ
意外と知られていませんが、陸運支局で不合格になっても、当日含め15日以内なら再受検OK・追加費用なし(同一支局・3回まで)。「ダメだ」と諦めず、修理して再受検すれば良いだけです。
よくある質問
Q. 検査員は冷たい人ばかり?
そんなことはありません。実際、私が検査員だった頃は「これだけ直せば通るよ」と具体的に教えるのが普通でした。検査員は「落とす」のが仕事ではなく「保安基準を守る」のが仕事です。質問すれば丁寧に答えてくれます。
Q. ユーザー車検は素人には無理?
事前準備さえすれば、初心者でも十分通せます。「予備検査場(テスター屋)」で500〜1,500円のチェックを受けてから本番に行くと安心です。
Q. 警告灯がついた状態で車検場に行ったら?
不合格です。事前に警告灯の原因を診断・修理してから受検してください。OBD-II診断機があれば自分で原因特定可能です(OBD2診断機の使い方 参照)。
Q. 「車検残り1ヶ月以上ある場合の前倒し受検」は?
有効期間の満了日1ヶ月前〜満了日までに受検すれば、残期間が損になりません。早すぎると残期間がリセットされるので注意。
整備士からのまとめ
- 不合格TOP3はヘッドライト・タイヤ・ブレーキ。これだけで不合格の半分
- 素人でも目視チェック可能な項目が多い
- 事前にテスター屋(500〜1,500円)で確認すれば安心
- 不合格でも15日以内ならノーペナルティで再受検可能
- ユーザー車検なら3〜5万円の節約になる
車検は「落とすため」のものではなく「安全な車だけを公道に出すため」の仕組みです。検査員視点で見れば、本気で安全運転を考えている人ほど自然と通るし、明らかに整備不良の車は当然落ちる、というシンプルな話。
本記事のチェックリストを使って、安心して車検に臨んでください。
⚡ 記事監修:1級自動車整備士 / 元自動車検査員 nao|sps-nk.com
整備士 nao(ナオ)
元自動車検査員
整備歴15年
FAINES契約
本記事の内容は整備マニュアル・メーカーサービス情報・現場経験に基づき執筆。プロメンテ(sps-nk.com)では実車写真と動画を交えた一次情報を発信しています。
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