AZR60ノア/ヴォクシー 空燃比・O2センサー交換【整備士】

エンジン
📅最終更新 2026年7月2日(1週間前)/公開 2026年6月27日

※記事内に商品プロモーションを含みます

エンジン警告灯が点いて診断機に P0135 が出た——AZR60系ノア・ヴォクシー(エンジン型式 1AZ-FSE)でよくある「空燃比センサー(A/Fセンサー)」のトラブルです。この記事では、整備士が実際に交換した実車(AZR65G・4WD・走行12.5万km)をもとに、まず混同されがちな「空燃比センサーとO2センサーの違い」をハッキリさせ、FAINES(整備マニュアル)準拠の点検規格・正しい純正品番・交換手順までを、推測ゼロでまとめました。「自分の車はどっちのセンサーを替えればいいのか」が分かる記事です。

🚗 今回の実車

車種・型式 トヨタ ヴォクシー/ノア CBA-AZR65G(4WD)
エンジン 1AZ-FSE(直4・2.0L 直噴D-4)
初度登録 平成17年(2005年)7月
走行距離 約125,000km
症状・コード エンジン警告灯点灯/P0135(O2センサヒータ系統 B1S1)
点検結果 フロントA/Fセンサーのヒータ抵抗が OL=断線(規格1.8〜3.4Ω外れ)→交換

1. 空燃比センサーとO2センサーは「別物」です

いちばん最初に押さえてほしいのがここです。ネット上の交換記事の多くが両者を「O2センサー」と一括りにしていますが、1AZ-FSEでは触媒の前後で違う種類のセンサーが付いています。ここを取り違えると、点検の判定も部品の手配も間違えます。

触媒の前(フロント・排気マニ側)=空燃比センサー(A/Fセンサー/B1S1)
排気中の酸素濃度を連続した値(リニア)で読み取り、ECUが空燃比を理想値へ精密にフィードバック制御します。

触媒の後ろ(リヤ・床下側)=O2センサー(酸素センサー/B1S2)
濃い/薄いをほぼON-OFF的に検出し、おもに触媒の浄化性能をモニター(劣化判定=P0420系)します。

項目 フロント 空燃比センサー(A/F) リヤ O2センサー
位置 触媒前(排気マニ側)B1S1 触媒後(床下)B1S2
役割 空燃比をリニア検出→燃調制御 触媒の浄化性能モニター
ヒータ抵抗(常温)の目安 1.8〜3.4Ω(FAINES記載) 11〜16Ω(参考値)
トヨタ純正品番 89467-28020 89465-28430
よく出る診断コード P0135/P0031/P0032(ヒータ系) P0137・P0136 ほか

⚠️ 品番の取り違え注意:通販には「フロント=89465-20860」と表記する出品が混在しますが、89467-=A/Fセンサー/89465-=O2センサーがトヨタ品番の体系です。発注前に必ず車台番号(VIN)で適合確認してください。年式(H16.8〜/H17.8〜)でフロント品番が分かれる可能性もあります。

あなたの車は「どっち」? 見分け方

基本は「触媒より前か後ろか」で物理的に判断します。フロント(排気マニ直後)に付いているのが空燃比センサー、触媒の下流側に付いているのがO2センサーです。診断機のコードでも切り分けられます(P0031/P0032ならフロントA/F、P0136/P0037ならリヤO2)。今回の実車で交換したのはフロントの空燃比センサーです。

2. 故障のサインと診断コード(実車はP0135)

空燃比センサーが弱ってくると、次のような症状が出ます。

  • エンジン警告灯(チェックランプ)の点灯
  • 燃費の悪化・加速のもたつき
  • アイドリングの不安定
AZR65G ノア・ヴォクシーのメーター。エンジン警告灯が点灯し走行距離は約125,591km
エンジン警告灯(チェックランプ)が点灯。走行は約12.5万km。
診断機MST3000の表示:現在故障 P0135 O2センサヒータ系統 B1S1
診断機(MST3000)の読み取り:現在故障 P0135「O2センサヒータ系統 B1S1」。

今回の実車を診断機(MST3000)で読むと、現在故障 P0135「O2センサヒータ系統 B1S1」が記録されていました。B1S1=バンク1・センサー1=触媒の前(フロント側)。1AZ-FSEのフロントは空燃比センサーなので、P0135=フロント空燃比センサーのヒータ回路の異常です。今回はヒータが断線していたため、このコードが入りました。

💡 P0135・P0031・P0032 はどれも「フロント(B1S1)ヒータ系」、ただし不良の出方が違う

P0135=ヒータ回路の異常(マルファンクション)断線・抵抗/電流異常で点灯(=今回のケース)。
P0031=ヒータ制御回路 Low(ヒータ電流0.3A未満/GNDショートやヒータ素子断線)。
P0032=ヒータ制御回路 High(ヒータOFFでも電流2A超/電源側ショート)。

3つとも同じフロントセンサーのヒータ系ですが、別名ではなく不良モードの違いです。ヒータが焼損(断線)するとP0135が入り、車種・ECUによってはP0031が同時に出ることもあります。

P0135の主な原因は、センサーヒータの断線・短絡、ヒータ電源のヒューズ/リレー、配線・コネクタの接触不良などです。原因切り分けは次章の単体点検で行います。コードの読み方・スキャナーの選び方は別記事で詳しく解説しています。

3. 単体点検(FAINES準拠・テスター点検)

交換の前に、本当にセンサーが原因かをテスターで切り分けます。以下は FAINES(整備マニュアル)記載の1AZ-FSE 空燃比センサー単体点検の規格です。使用SSTは 09082-00030/09083-00150(トヨタエレクトリカルテスター)。

点検項目 測定端子 基準値
センサヒータ抵抗点検 2(+B) ↔ 1(HA1A) 1.8〜3.4Ω(常温)
センサヒータ短絡点検 1(HA1A) ↔ 4(A1A-) 導通なし

コネクタ端子配列(4極)

1 = HA1A(ヒータ)/2 = +B(ヒータ電源)/3 = A1A+(センサ信号+)/4 = A1A-(センサ信号−)

⚠️ ヒータ抵抗の基準値「1.8〜3.4Ω」はフロント空燃比センサーの値です。リヤO2センサー(11〜16Ω前後)とは数値が違うので、点検時に取り違えないように。

外したフロント空燃比センサーの4極コネクタ。1=HA1A/2=+B/3=A1A+/4=A1A-
外したフロント空燃比センサーの4極コネクタ。テスターでヒータ端子(2↔1)を測定する。

🔧 今回の実車の点検結果
P0135が記録されていたので、外したフロント空燃比センサーのヒータ端子(2↔1)をテスターで測定したところ、抵抗値は OL=断線(導通なし)。基準の1.8〜3.4Ωをまったく満たさず、ヒータ内部の断線=センサー本体の不良と確定しました。ヒューズ・配線側に異常がないことも確認のうえ、センサーを新品交換しています。

4. 交換手順(実車)

1AZ-FSEの排気マニホールド遮熱板。この奥の触媒前にフロント空燃比センサーが付く
排気マニホールドの遮熱板。フロント空燃比センサーは触媒の手前(この奥)に付く。

必要な工具

  • O2センサーソケット(22mm・配線を逃がすスリット付き)
  • ラチェット・エクステンション、12mmレンチ(遮熱板ボルト)
  • トルクレンチ
  • 焼き付き防止剤(アンチシーズ|ねじ部のみ・センサー先端には絶対付けない)

交換ステップ

  1. バッテリーのマイナス端子を外す(誤検知・ショート防止)。
  2. 排気マニの遮熱板(ヒートインシュレーター)を外す。ボルトが固着していることが多いので、無理に折らないよう注意。
  3. 空燃比センサーのコネクタを外す(4極カプラー)。ツメを確実に押して、こじらない。
  4. 22mmのO2センサーソケットでセンサー本体を緩めて外す。固着している場合はエンジンが温かいうち(温感)のほうが緩みやすい。
  5. 新品センサーのねじ部に焼き付き防止剤を薄く塗布し(先端の検出部には付けない)、手締めできるところまで入れる。
  6. トルクレンチで規定トルクまで締め付ける。締付トルク=44 N·m(449 kgf·cm)
  7. コネクタを確実に接続→遮熱板を戻す→バッテリーを接続。
  8. エンジン始動し、警告灯が消えること・診断機でコードが再発しないことを確認。
締付箇所 規定トルク(FAINES) 備考
センサー本体 44 N·m(449 kgf·cm) SST 09224-00010(O2/空燃比センサー共通)
エンジンアンダカバーNo.1 5.0 N·m(51 kgf·cm) 下回りから作業する場合
フロントタイヤ(ホイールナット) 103 N·m(1050 kgf·cm) ジャッキアップ時の復元用

⚠️ 固着・焼き付きに注意:排気系は高温にさらされ、センサーも遮熱板ボルトも固着しがちです。ねじ山をなめる・センサーをかじると排気漏れの原因になります。温感状態での作業、適切なソケット、規定トルクでの締め付けを守ってください。作業はエンジン・排気が冷えた状態で始め、やけどにも十分注意を。

5. 部品の選び方(品番)

フロント空燃比センサーのトヨタ純正品番は 89467-28020。社外品ではNTK(日本特殊陶業)の OZA670-EE28 等が対応します(NTKは空燃比センサーも「O2センサー」表記の箱で販売されるため、純正品番で逆引きするのが確実です)。リヤO2センサーは純正 89465-28430/NTK OZA642-EE13 です。いずれも発注前にVINで適合確認を。

今回交換に使ったNTK製センサー(新品)
今回使用した新品センサー(NTK製)。純正品番で適合を確認してから手配する。

適合する空燃比センサーを探す

純正品番「89467-28020」で照合のうえお選びください

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専用工具(O2センサーソケット 22mm)

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6. まとめ

・1AZ-FSEはフロント=空燃比センサー(A/F)/リヤ=O2センサーの別物。
・故障時のコードはフロントA/F=P0031/P0032、リヤO2=P0037/P0136。
・FAINES点検規格:ヒータ抵抗 1.8〜3.4Ω(常温)/短絡 導通なし。
・フロント純正品番は 89467-28020。発注前にVIN適合確認を。
・交換は22mmソケット+締付44N·m+焼き付き防止が基本。

N

整備士 nao

1級自動車整備士 / 元自動車検査員

ディーラー・整備工場で15年以上の実務経験。年間数百台の車検整備を担当してきた現場のプロが、DIYユーザーにも分かりやすく整備情報をお届けします。

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