AZR60ノア/ヴォクシー 空燃比・O2センサー交換【整備士の実車解説】
1AZ-FSE|FAINES点検規格・純正品番・診断コード(P0135)まで、現場のプロが実車で解説
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エンジン警告灯が点いて診断機に P0135 が出た——AZR60系ノア・ヴォクシー(エンジン型式 1AZ-FSE)でよくある「空燃比センサー(A/Fセンサー)」のトラブルです。この記事では、整備士が実際に交換した実車(AZR65G・4WD・走行12.5万km)をもとに、まず混同されがちな「空燃比センサーとO2センサーの違い」をハッキリさせ、FAINES(整備マニュアル)準拠の点検規格・正しい純正品番・交換手順までを、推測ゼロでまとめました。「自分の車はどっちのセンサーを替えればいいのか」が分かる記事です。
🚗 今回の実車
| 車種・型式 | トヨタ ヴォクシー/ノア CBA-AZR65G(4WD) |
| エンジン | 1AZ-FSE(直4・2.0L 直噴D-4) |
| 初度登録 | 平成17年(2005年)7月 |
| 走行距離 | 約125,000km |
| 症状・コード | エンジン警告灯点灯/P0135(O2センサヒータ系統 B1S1) |
| 点検結果 | フロントA/Fセンサーのヒータ抵抗が OL=断線(規格1.8〜3.4Ω外れ)→交換 |
1. 空燃比センサーとO2センサーは「別物」です
いちばん最初に押さえてほしいのがここです。ネット上の交換記事の多くが両者を「O2センサー」と一括りにしていますが、1AZ-FSEでは触媒の前後で違う種類のセンサーが付いています。ここを取り違えると、点検の判定も部品の手配も間違えます。
触媒の前(フロント・排気マニ側)=空燃比センサー(A/Fセンサー/B1S1)
排気中の酸素濃度を連続した値(リニア)で読み取り、ECUが空燃比を理想値へ精密にフィードバック制御します。
触媒の後ろ(リヤ・床下側)=O2センサー(酸素センサー/B1S2)
濃い/薄いをほぼON-OFF的に検出し、おもに触媒の浄化性能をモニター(劣化判定=P0420系)します。
| 項目 | フロント 空燃比センサー(A/F) | リヤ O2センサー |
|---|---|---|
| 位置 | 触媒前(排気マニ側)B1S1 | 触媒後(床下)B1S2 |
| 役割 | 空燃比をリニア検出→燃調制御 | 触媒の浄化性能モニター |
| ヒータ抵抗(常温)の目安 | 1.8〜3.4Ω(FAINES記載) | 11〜16Ω(参考値) |
| トヨタ純正品番 | 89467-28020 | 89465-28430 |
| よく出る診断コード | P0135/P0031/P0032(ヒータ系) | P0137・P0136 ほか |
⚠️ 品番の取り違え注意:通販には「フロント=89465-20860」と表記する出品が混在しますが、89467-=A/Fセンサー/89465-=O2センサーがトヨタ品番の体系です。発注前に必ず車台番号(VIN)で適合確認してください。年式(H16.8〜/H17.8〜)でフロント品番が分かれる可能性もあります。
あなたの車は「どっち」? 見分け方
基本は「触媒より前か後ろか」で物理的に判断します。フロント(排気マニ直後)に付いているのが空燃比センサー、触媒の下流側に付いているのがO2センサーです。診断機のコードでも切り分けられます(P0031/P0032ならフロントA/F、P0136/P0037ならリヤO2)。今回の実車で交換したのはフロントの空燃比センサーです。
2. 故障のサインと診断コード(実車はP0135)
空燃比センサーが弱ってくると、次のような症状が出ます。
- エンジン警告灯(チェックランプ)の点灯
- 燃費の悪化・加速のもたつき
- アイドリングの不安定


今回の実車を診断機(MST3000)で読むと、現在故障 P0135「O2センサヒータ系統 B1S1」が記録されていました。B1S1=バンク1・センサー1=触媒の前(フロント側)。1AZ-FSEのフロントは空燃比センサーなので、P0135=フロント空燃比センサーのヒータ回路の異常です。今回はヒータが断線していたため、このコードが入りました。
💡 P0135・P0031・P0032 はどれも「フロント(B1S1)ヒータ系」、ただし不良の出方が違う
・P0135=ヒータ回路の異常(マルファンクション)。断線・抵抗/電流異常で点灯(=今回のケース)。
・P0031=ヒータ制御回路 Low(ヒータ電流0.3A未満/GNDショートやヒータ素子断線)。
・P0032=ヒータ制御回路 High(ヒータOFFでも電流2A超/電源側ショート)。
3つとも同じフロントセンサーのヒータ系ですが、別名ではなく不良モードの違いです。ヒータが焼損(断線)するとP0135が入り、車種・ECUによってはP0031が同時に出ることもあります。
P0135の主な原因は、センサーヒータの断線・短絡、ヒータ電源のヒューズ/リレー、配線・コネクタの接触不良などです。原因切り分けは次章の単体点検で行います。コードの読み方・スキャナーの選び方は別記事で詳しく解説しています。
🔗 関連記事:OBD2スキャナー完全ガイド|故障コードの読み方と選び方
3. 単体点検(FAINES準拠・テスター点検)
交換の前に、本当にセンサーが原因かをテスターで切り分けます。以下は FAINES(整備マニュアル)記載の1AZ-FSE 空燃比センサー単体点検の規格です。使用SSTは 09082-00030/09083-00150(トヨタエレクトリカルテスター)。
| 点検項目 | 測定端子 | 基準値 |
|---|---|---|
| センサヒータ抵抗点検 | 2(+B) ↔ 1(HA1A) | 1.8〜3.4Ω(常温) |
| センサヒータ短絡点検 | 1(HA1A) ↔ 4(A1A-) | 導通なし |
コネクタ端子配列(4極)
1 = HA1A(ヒータ)/2 = +B(ヒータ電源)/3 = A1A+(センサ信号+)/4 = A1A-(センサ信号−)
⚠️ ヒータ抵抗の基準値「1.8〜3.4Ω」はフロント空燃比センサーの値です。リヤO2センサー(11〜16Ω前後)とは数値が違うので、点検時に取り違えないように。

🔧 今回の実車の点検結果
P0135が記録されていたので、外したフロント空燃比センサーのヒータ端子(2↔1)をテスターで測定したところ、抵抗値は OL=断線(導通なし)。基準の1.8〜3.4Ωをまったく満たさず、ヒータ内部の断線=センサー本体の不良と確定しました。ヒューズ・配線側に異常がないことも確認のうえ、センサーを新品交換しています。
4. 交換手順(実車)

必要な工具
- O2センサーソケット(22mm・配線を逃がすスリット付き)
- ラチェット・エクステンション、12mmレンチ(遮熱板ボルト)
- トルクレンチ
- 焼き付き防止剤(アンチシーズ|ねじ部のみ・センサー先端には絶対付けない)
交換ステップ
- バッテリーのマイナス端子を外す(誤検知・ショート防止)。
- 排気マニの遮熱板(ヒートインシュレーター)を外す。ボルトが固着していることが多いので、無理に折らないよう注意。
- 空燃比センサーのコネクタを外す(4極カプラー)。ツメを確実に押して、こじらない。
- 22mmのO2センサーソケットでセンサー本体を緩めて外す。固着している場合はエンジンが温かいうち(温感)のほうが緩みやすい。
- 新品センサーのねじ部に焼き付き防止剤を薄く塗布し(先端の検出部には付けない)、手締めできるところまで入れる。
- トルクレンチで規定トルクまで締め付ける。締付トルク=44 N·m(449 kgf·cm)。
- コネクタを確実に接続→遮熱板を戻す→バッテリーを接続。
- エンジン始動し、警告灯が消えること・診断機でコードが再発しないことを確認。
| 締付箇所 | 規定トルク(FAINES) | 備考 |
|---|---|---|
| センサー本体 | 44 N·m(449 kgf·cm) | SST 09224-00010(O2/空燃比センサー共通) |
| エンジンアンダカバーNo.1 | 5.0 N·m(51 kgf·cm) | 下回りから作業する場合 |
| フロントタイヤ(ホイールナット) | 103 N·m(1050 kgf·cm) | ジャッキアップ時の復元用 |
⚠️ 固着・焼き付きに注意:排気系は高温にさらされ、センサーも遮熱板ボルトも固着しがちです。ねじ山をなめる・センサーをかじると排気漏れの原因になります。温感状態での作業、適切なソケット、規定トルクでの締め付けを守ってください。作業はエンジン・排気が冷えた状態で始め、やけどにも十分注意を。
5. 部品の選び方(品番)
フロント空燃比センサーのトヨタ純正品番は 89467-28020。社外品ではNTK(日本特殊陶業)の OZA670-EE28 等が対応します(NTKは空燃比センサーも「O2センサー」表記の箱で販売されるため、純正品番で逆引きするのが確実です)。リヤO2センサーは純正 89465-28430/NTK OZA642-EE13 です。いずれも発注前にVINで適合確認を。

6. まとめ
・1AZ-FSEはフロント=空燃比センサー(A/F)/リヤ=O2センサーの別物。
・故障時のコードはフロントA/F=P0031/P0032、リヤO2=P0037/P0136。
・FAINES点検規格:ヒータ抵抗 1.8〜3.4Ω(常温)/短絡 導通なし。
・フロント純正品番は 89467-28020。発注前にVIN適合確認を。
・交換は22mmソケット+締付44N·m+焼き付き防止が基本。
整備士 nao
ディーラー・整備工場で15年以上の実務経験。年間数百台の車検整備を担当してきた現場のプロが、DIYユーザーにも分かりやすく整備情報をお届けします。


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